化け物 ページ31
「おい、やめろ！！」
「A、早まるでない！」
何を止める必要があるのか
目の前に居るのは化け物だ、人間じゃない化け物だ
化け物を殺そうとして何が悪い？仇を討とうとして何が悪い？
キャプテンが首を絞めるのをやめさせるために、“おれ”の手首を掴む
振り払って首を絞め続けようともしたけど、男の腕力には勝てず、すぐに引きはがされた
『もうこれ以上兄さんの声で喋るな！同じ顔でおれを見つめるな！！
今すぐ消えろ、この化け物ッ！！！』
「落ち着け、落ち着くのじゃA」
師匠はおれを後ろから羽交い絞めにし、気を落ち着かせようと優しく声をかけてくる
でも、そんな事でおれの気持ちは変わらない
こいつは、今ここで殺しておかなければ危険だ
今ここで生かしておけば、生きている限り私の事を執拗に追いかけてくるだろう
そんな事になれば、クルーやキャプテンだけじゃない、私と全く関係ない人が犠牲になるかも
何とか師匠の腕の中から逃れようと、身をよじって暴れるがびくともしない
「A、何で分かってくれないんだ」
『分かるものか、お前みたいな化け物の言い分なんて分かるものか！！』
「A」
『黙れッ！！』
あれだけ強く首を絞めたのに、息一つ乱さず話す姿は不気味だった
キャプテンも、師匠も、胸の奥が締め付けられたように辛そうな表情を浮かべている
・・・何でこの二人が、そんな顔をしなければならないのだろうか
そこで我に返り、全身の力が抜ける感覚があった
「・・・・・・Aは部屋から出ろ、ここからはおれと蝶屋で話し合う」
「おいおい待ってくれ、おれはまだAと話したりないんだけど？」
「さっきの様子を見て思わなかったのか？もうこれ以上、お前と一緒に居ればあいつは壊れちまう
そんな事も分からないでよく“一緒に居よう”なんて言えたな」
「おれはAと一緒に居れたならそれでいい、たとえ壊れていても死んでても、ね」
「・・・どこまでもクズ野郎だな」
「ほらA、お行き」
『・・・アイアイ』
ドアまで師匠に付き添ってもらって、キャプテンの部屋から出る
ドアを閉め、すぐそばの壁に背をつけ天井を見上げる
脚に力が入らず、ずるずると床にへたりこむ
『・・・ペンギン』
「・・・・・・ん」
『いつから聞いてた？』
「・・・ほぼ最初から」
『そっか』
「・・・」
『私が何したか、もう大体予想ついてるでしょ』
「・・・うん」
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黒羽(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！初めてコメントいただきました、励みになります（＾＾） (2021年9月11日 15時) (
レス) id: 6a93ddb834 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - もう一つのｐｃがしました。初めまして！とっても素敵です！高評価しました！ (2021年9月11日 15時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぬこ x他1人 | 作成日時：2021年7月28日 11時
