愛い奴 ページ12
ロスカside
「あの子と出会ったのは十六年前の事で、まだあの子が十歳の頃だった」
忘れはしない、何も知らなかった私が見てもおぞましい光景だった
足元を埋め尽くす死体、その死体からする死臭に集まった蠅の大群
一面の血の海、群がり死肉を食い荒らすカラス達
「私はただ何も考えず、ふらふらと旅を続けていた放浪者でね
偶然Aの居る島に寄ったのだよ・・・そこで見たものは、“地獄”の他何もなかった」
「そこで、Aと会ったんですか？」
「会った・・・というより保護と言った方がいいか
その島の生き残りは、A以外居なかったからね」
ボロボロだった
服が傷だらけで、靴も履いていなかった
そのまま見捨てようともしたが、昔の自分と姿が重なり放っておけなかった
「最初は私を警戒していたがね、一つ頭を撫でてやったらすぐに心を開いたよ
・・・独りで、心細かったのだろうね」
「それから・・・どうしたんですか？」
「“兄の仇を取りたい”と言われてね、稽古をつけていたさ
私はただの放浪者ではなく、“殺し屋”だったからね」
私が生まれた所は、殺しで金を稼ぐ場所だった
沢山のきょうだいがいて、幼いころから殺しの技術を教え込まれていた
きょうだいと言っても、血が繋がっているのか繋がっていないのかも分からない
「私は幼いころから命を奪ってばかりだったから、Aとの生活は新鮮なものだったよ
私の中の何か足りなかったものが、満たされていくような気持ちだった、まぁ、稽古の時は
かなりあの子に辛く当たってしまったがね・・・・・・」
「まさか、あいつの身体が傷だらけなのって」
「ああ、今のあの子の身体がどんな風なのか見たことはないが、一生残ってしまうような
傷をつけてしまった事も何回もある、教え方など、私が幼いころに受けた訓練の他
何も分からなかったからね・・・って、付き合ってるのは分かっていたが、Aとは
もうそのような仲なのか？」
「いやいやいやいや違います！！おれはただ、その、イッカクから聞いただけで・・・」
「ははは、そんなに慌てなくてもいいだろう？意外とウブじゃな」
Aもそうだが、この男も愛い奴じゃな
この反応といい、大切に想える人間の事になると必死になるのも、あの子と似ている
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黒羽(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！初めてコメントいただきました、励みになります（＾＾） (2021年9月11日 15時) (
レス) id: 6a93ddb834 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - もう一つのｐｃがしました。初めまして！とっても素敵です！高評価しました！ (2021年9月11日 15時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぬこ x他1人 | 作成日時：2021年7月28日 11時
