知らない ページ11
ペンギンside
キャプテンが部屋から出て行ってからしばらくして
数回のノックの後にドアが開いた
入ってきたのはキャプテンではなく、Aの師匠だった
どれくらい時間が経っていたのだろう
キャプテンが部屋から出て行ったのも“しばらく”どころじゃないのかもしれない
外を見ると、空の大半は夜の闇に包まれていた
「すまなかったの、ペンギン」
「え」
「取り乱していたとはいえ、ちと厳しい事を言ってしもうた」
「い、いや・・・あれは、おれが悪いです」
この人は、何を言いに来たんだろうか
多分、謝りに来ただけではない、何か他に話すことがあるような、そんな雰囲気がする
「いつまでもここで話すわけにはいかぬ、この部屋は虎の坊の部屋なのだろう？」
「あ、じゃあ書斎に・・・あそこはこの時間帯誰も居ませんから」
書斎への移動の間、Aの師匠は何も言わなかった
しんと静かな空気が気まずくて、何か話そうと口を開いたが何も出てこなかった
キャプテンの部屋から書斎へ着くまでの時間がやけに長く感じた
「さて・・・あの子の事について話そうか」
「Aの・・・？」
「ああ、先ほどシャチ坊や虎の坊にも話してきた・・・お主にも話しておかなければならぬ」
神妙な顔つきで椅子に座り、机の上に手を組んでいる姿は
これから語られるAの話が、生半可なものじゃないことを写し出していた
Aの過去の事については、以前シャチとAの事について大喧嘩したときに
話されたが、おそらくシャチはAから話されたことを全て語っていなかったのであろう
シャチが言っていたことは“過去の事を聞いて、辛い事を思い出させてしまった”とだけだ
Aに“探し物”がある事なんか分からなかった
何を探しているのか、過去に何があったのか、おれには分からなかった
Aが人殺しをしていたのは新聞で度々取り上げられていたからと、手配書を見ていたから
なんとなく分かってた
そこで気が付いた
おれはAの事を何も知らない
誕生日とか好きなものとかそんな些細なものとは違う
上手く言えないけど、もっと深い、細かい事をおれは知らない
「まず、私とあの子が出会った時から話そうか」
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黒羽(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！初めてコメントいただきました、励みになります（＾＾） (2021年9月11日 15時) (
レス) id: 6a93ddb834 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - もう一つのｐｃがしました。初めまして！とっても素敵です！高評価しました！ (2021年9月11日 15時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぬこ x他1人 | 作成日時：2021年7月28日 11時
