lily of the valley 2 ―海道ジン―

Ｎｏ，43　♯ ページ44

A 「すみません、出ました。」

私は、ジンに声をかける。
ジンは本を読んでいたようで、栞を間に挟んでいた。
本を机に置き立ち上がると、こちらに歩いてきた。

A 「？ 何か？」

ジンはその問いに答えず、さらに距離を縮める。
すぐ近くまで来たかと思うと、私の方に手を伸ばし肩をつかむ。

そして腕が肩に回され、彼のほうへ引き寄られた。

A 「えっ……海道さん…………。」

顎にかけられる指の熱さに、
顔が火照るのを感じる。
そっと上を向かされ…………。






唇が重なった。


しばらくして唇を離したジンが、
私の耳元で囁く。

ジン 「敬語、やめなかったらキスするって
言ったよね……?」




腕をほどき、浴室へ向かうジン。
私はその後ろでへたり込んだ。

浴室の扉を閉める音が遠く聞こえる。

A 「本当にキス……された……?」


顔の火照りは、当分おさまりそうにない。

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