小さな神威くんの飼育係

新章 第5話 『お前』 ページ20

『こっちは会いたいんじゃ、ボケェええ！！』




ガンっ！！




と思い切り木刀を振るえば
じんじんと手が麻痺し音を立て木刀が
床に転がった





「さっきっから誰の事でぃ
前の男か？」





と総悟に聞かれるが
あたしはなんて答えたらいいか分からない
あたしにとって神威はなんなんだろう





と少し考え込んだ後







『ペット』






と答えておいた。






「...まあ、力はゴリラの遺伝子が流れている
ようで案外大丈夫そうでさァ
問題は体力とスピード、
そこをどうカバーするか、」





「そうか。珍しく真剣に教えてやってるな総悟
なんの前触れだ？」






『いや、そうか。じゃねぇよ！！
ゴリラの所否定しろよ！！！』






と隣でギャンギャン喚く私をよそに
土方さんと総悟は勝手に話を進めていく





あれ？私空気？？？






「まあ、暇つぶし程度に教えてやってるだけでィ
それ以下でもそれ以上でもねェ
何か思うことでもあんですかィ」





とチロリと横目で土方さんを見つめる総悟は
どこか冷たい
それに、土方さんは そうかよ
と不敵な笑みで笑った






『えーっと、総悟だけじゃなくてさ
土方さんも教えてよ、ね？
ていうか頼むで候！！』





と空気を変えようと必死な私を見て
土方さんはクスリと微笑んだ






ー
ーー






『きっつーーー...』





あの後鬼のような稽古をされ
総悟にボロッボロにされまくった私。
全身筋肉痛で歩くのも嫌になりそうだ






『っででで……総悟の奴、
なんであんなに強いんだよ...！』






とイライラしながらもトイレに向かっている途中
背後から声が聞こえた






『ん？あ、土方さん
どーしたの？なんか用？』






振り返れば、そこには道場で待っているはずの
土方さんの姿が。まさか修練でトイレにまで行くななんて言い出すんじゃないだろうな
と冷や汗をかき始めたとき、






「お前はここの隊士でも何でもねェ
俺の事も普通に呼べ」






『へ？』







ワッツ？







普通に呼べ、とは







『いや皆は副長って呼んでるし
あたし土方さんって呼び方普通じゃない？』






と言えば彼の片眉がピクンと動く






「総悟の事は名前で呼んでるだろうが.....」






と頭をポリポリかく土方さんに
あっ、照れてるとニヨニヨしながらも
私は わかった と頷いた







『土方！これからもよろしく！』






「そう言うことじゃねぇ」

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