小さな神威くんの飼育係

新章 第21話 『こんな筈じゃ』 ページ37

「A...晋助様も心配してるんスよ」



『...申し訳ないけど今のアイツを放っておく
ことなんか出来ないんだよ。』





そう言って立ち上がりあたしは部屋を出て言った
また子の引き止める声など耳もくれず、




ー
ーー





さんざん探しまくった挙句見つけた場所は
あたしが密かにプラネタリウムと呼んでいる部屋だ
丸いオーム状の部屋で全てがガラス張りになっていて宇宙が良く見渡させる所、そこに神威は1人、
長椅子に座り、外を見ていた






『神威』





「...何しに来た」






背後から呼びかければ振り向かず
冷めた声で返事を返される、
それに少し寂しく思いながらも
あたしは静かに神威に近づいて行った





『何しに来た？そんなの1つしかないじゃん
久しぶりに話したいなーって』






と神威の横に座った






「...自分の部屋に戻れよ
お前の顔見ていると腹が立ってしょうが無いんだ」





『ねえそれシンプルに悪口じゃない？』





とあたしはいつものように怪訝に眉をひそめ
あいつを見る、だけど神威は違くて、ペラペラと喋り出す私の口をいきなり手で塞いだ






「煩いんだよ
お前の声も耳障りなんだ
俺に構うな！」





と席を立ち部屋を出ていこうとする神威
だがあたしはあいつの腕を引っつかみ
驚いてこちらを振り向くあいつの顔を渾身の力でぶん殴った







『何に対してイラついてるのか分からない
何を思って暴力を振るうのか分からない
けどな、それでもあたしは前のように戻って
お前に腹たって、笑って、話したいんだよ！
お前とまた言い合いしたいんだよ！！』






と言い終わると、勝手に涙がポロポロと
流れてくる、
あたしがなんの為にここに来たと思ってるんだよ
と泣きながら言うと神威はそっと切ない顔であたしの涙を拭った、







「...悪かったよ
ただ気に入らなかっただけだ
今まで欲しいと思った物全てが簡単に
手に入っていたのに
何故かそれは簡単に手に入らなくて、
無性に腹が立った」






と少し苦笑しながら神威が私の髪を耳にかけた

なんだ、そうだったのか、と私は自然に涙が
止まり神威の腕を掴む


そしてそのまま思い切り背負い投げた






『てんめぇええええ！！
簡単に手に入らない物に腹が立っただァ？！
ガキかてめぇは！
受精卵からやり直してこいや！！！』

新章 第22話 『弁えろ』→←特別編 『作者だってもっとドSで小生意気な神威を書きたいんだ！！！ってなわけで特別編書いてしまいました。』

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