＊26 いやだ ページ27
＊
『………』
織山「え、あのー………A？どうしたの？」
『………えっ？』
織山君の呼び掛けにハッとして、今自分が起こした行動をやっと理解し、サアア…と血の気が引いていく。
『わっ、ご、ごめん！！私なにしてんだろ！？
本当にごめん！！』
真凛「あっ、ううん」
織山「...........ねえ、今のってさ」
猪狩「監督が織山に話があるから俺が呼んできて〜って
Aに言ったんだよ」
『い、猪狩君…』
そう、この舞台、HiHi Jetsの猪狩蒼弥君とも共演する。
配役は"なお"のお兄ちゃん役であり、後に亡くなる設定だ。
織山「監督、話ってなんですか？」
監督「あーここのな、〜………」
集中しなきゃ………何してんだ私。
一度、頭を冷やして、深呼吸してみると、
はぁぁぁ…と一気に力が抜ける。
同時に、恥ずかしさで顔がだんだん熱くなっていた。
真凛(………なにあれ)
織山「A〜、ちょっとここのシーン変更」
『あ、そうなんだ、どこー？』
織山「ここの、2ヶ月後Aは死んだの所〜、もうちょい尺伸ばして欲しいんだってー」
『はーい』
．
猪狩「Aー？大丈夫？？」
『い、猪狩君ちょっといいですか！』
猪狩「はいはい、いいですよ」
織山「……？」
猪狩君の腕を引いて織山君たちから離れる。
そして周りに聞こえない程度の声と距離で猪狩君に話し始める。
『さ、さっきの……カバーありがとうございました』
猪狩「あぁ、いいよ。別に俺と監督の話そっちのけで織山のこと気にしてたなんて別に全然俺は気にしてないから」
『めちゃくちゃ気にしてるじゃないですか。ほんとすいません、助かりました。』
猪狩「……で、さっきの行動は何だったのかな？」
『………それが私にもよく分からなくて…』
猪狩「マジかよ！？あれで無自覚！？」
『ちょっ…猪狩君しーっ！』
バッと周りの役者さんたちが私たちの方を見て、また何事も無かったように作業に戻る。
そして私たちも話に戻る。
猪狩「......じゃあ、織山とあの子引き剥がしたのはなんで？」
『なんか、あの2人見てたらすごくモヤモヤ？
みたいなものが積もって…・・・・・」
猪狩「モヤモヤだけ？他に何か思わなかった?」
考えがまとまらずにもにょもにょ答える私と反対に、猪狩君はもう答えを知ってるかのように私に問いかける。
他に思ったこと………
『……やだ、って思いました』
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作者名：にしか | 作成日時：2023年1月3日 13時
