11話 ページ11
〜wolf side〜
気づいたら俺は、駅前に立っていた。
人間の姿をしている。
健「あれ、俺何でこんなところに……?」
戸惑っていると、向こうから女の子がやってくる。
A「芝さん!ごめん、待った?」
そっか、俺、これからAちゃんと遊ぶんだっけ。
健「ううん、待ってないよ?」
傍から見れば、カップルにするような典型的な会話。
何も疑問に思うことはないはずなのに、違和感が残る。
なんでだろう、なんて考えてると、
いきなりAちゃんの手が俺の手を握ってきた。
健「えっ?!」
驚いて声を上げると、Aちゃんは申しわけなさそうな顔をした。
A「ごめん…いつも芝さんから繋いでくれるから、たまには私もって思ったんだけど……」
健「あ、えと……触っていいの?」
A「え?別に付き合ってるし、いいんじゃない?」
健「そうだよね、なんで俺びっくりしたんだろう?」
Aちゃんはなにそれーって言いながらまた手を繋いでくれる。
いつも繋いでるはずなのに初めての感覚な気がして、不思議に思いながらも自然と頬が緩んだ。
その後俺らは映画を見て、お昼を食べ て、少し歩いて公園のベンチに座って話している。
A「映画面白かったね!!」
健「そうだね!」
嬉しそうに笑うAちゃんの顔がとても愛おしく見える。
健「Aちゃん、大好き」
A「え?!いきなりどうしたの?///まぁ、ありがと////」
健「ねぇAちゃん……キスしてもいい?///」
A「えっ……別にいいけど////」
自分で言ってて恥ずかしくなった。
Aちゃんも赤くなったけど、いいっていってくれた。
そっと頬に手を添えると、目を閉じてくれた。
俺も顔を近づける。
健「っっっっ!!!」
あと数センチって所で腹部に強烈な痛みが走る。
A「芝……さん?」
Aちゃんが心配そうに見てくる。
早く目を開けて、前を向いて、大丈夫だよって笑わないと。
安心させてあげないと……
ゆっくり目を開けると、そこはいつもの森の中だった。
A「芝さん!芝さん!」
横には俺の名前を必死に呼ぶAちゃん。
あぁそっか………
さっきまでのは夢。
何回も神様に願った未来。
何回も何回も神様に祈ったけど、
やっぱり、悲しいぐらい
おおかみと赤ずきんだったね。
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作者名:よもぎ | 作成日時:2021年9月2日 21時