Baby's Breath. vol.2 (ページ44)

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ユナに向けられる柔らかい眼差しを、声を思い出すだけで、ユナの心臓がトットットと少し駆け足になる。

毎日通ったLAのスタジオを思い出す。

それからユナが最後にCJと踊ったステージのことも。

本当は誰よりもステージを観て欲しかった人が、観客席にいなくて。

落胆と悲嘆でいっぱいだったユナに、ジョングクが「観てましたよ」と声をかけてくれた。

「ステージに立ちたい」と語るジョングクの真っ直ぐな瞳があまりに眩しくて。

ずっと身につけていたお守りをあげたくなったのだ。

彼が、夢を叶えられますようにと。

そう願いをこめて。

ーーーJKと、ジョングクさんは、同じひと、だった。

JKがオッパと同じグループの人だなんて、全然気づかなかった。

JKと、また会うなんて、思ってもみなかった。

それから。それから。

ユナはマットの上に寝転がって、両手で自分の唇を抑えた。

まるで物語の中にいるようだった。

まだ、頭の中がふわふわしている。

それはユナにとっては初めての感覚で。

少し、怖くなる。

ぶるぶるとその場で頭を振ったユナは、深く、深く息を吐き出した。

ーーー落ち着こう。いつものように。

あぐらをかいて、首をぐるりと回して。

いつものように深呼吸をしながら、関節をゆっくりと伸ばしていく。

イヤフォンを耳に入れて、お気に入りのプレイリストの再生ボタンを押す。

聞き慣れた音に身を委ねるように、ユナは自分の体の隅々に意識を集中させた。