#09-1 JK ページ30
こうやって電車に乗るのは久しぶりだ。
練習生時代は、よく電車に乗ってヒョンたちと出かけてたっけ。
デビューしてからというもの久しく乗っていなかった公共交通機関に、ジョングクは懐かしい気持ちになる。
ーーー…まさかこういうことが起きるとは思っても見なかったけど。
ちらりと横目でユナを見る。
目深に被ったバケットハットのせいで、窓の方を見つめているユナの表情は、伺えない。
マネージャーと分かれたジョングクたちが向かったのは、カフェから一番近い駅だった。
タクシーに乗ることも考えたけれど、一番早く海岸まで辿り着ける電車を選択した。
幸いにも直通電車の指定席が取れて。
二人並んで席に座った。
触れ合った肩がじわじわと熱を持つ。
ーーーなんだか、まるでデートみたいだ。
ユナと二人で、韓国で電車に乗っている。
その事実に不思議なような、くすぐったいような気持ちになる。
「着いたら起こしてあげるから、寝ていいよ」
時折ぐらぐら頭をを揺らしていたユナに囁くと、小さく首を振ったけれど。
睡魔に抗えきれずに、ゴン、と鈍い音を立てて頭をぶつけているユナに苦笑する。
そっとユナの頭を自分の方へ引き寄せると、ユナがもぞもぞと頭を動かして。
やがて聞こえてきた小さな寝息に、ジョングクはそっと笑みをこぼした。
不意に、ポケットに入れたスマホが振動する。
カトクの差し出し人はーーーユンギだ。
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作者名:kamome | 作成日時:2023年1月16日 17時