#08-2 JK ページ28
ーーーマネヒョンには悪いけど、もうちょっと待ってもらおうっと。
ユナはどうやら店内で食べるらしい。
ジョングクもドーナッツを一つ購入して、「一緒に食べていいですか？」とユナに声をかけると、ユナは小さく頷いた。
店内の奥まった席に、二人で腰掛ける。
お皿に置かれたドーナッツを眺めるユナは、興味津々、と言った表情で。
「ドーナッツ、食べたことないの？」
YN「…小さい頃に、食べた記憶はあります。韓国に帰ってきてからは、多分、はじめて」
「えっ」
ユナは緊張した面持ちで、ドーナッツを一口サイズに千切ると、恐る恐る、といった風に口に入れた。
次の瞬間。
丸い瞳をもっと丸くして、ユナが瞳をきらきらと輝かせた。
「おいしい」としみじみと呟いたかと思うと、一口、一口とドーナッツを口に運ぶ。
その様子がまるでリスのようで。
ジョングクは思わず「こっちの味も食べてみて」と、自分のドーナツもユナに差し出した。
一欠片を口にしたユナが、また目を輝かせた。
「あー…今日は仕事終わりですか？」
YN「、ネ」
コクリ、とユナが頷く。
ふと、他のメンバーやマネージャーの姿が見えないことを思い出して、ジョングクは首を傾げた。
「マネージャーさんは一緒じゃないんですね。
もしかして、宿舎まで歩いて帰るんですか？」
だとしたらあまりに無防備すぎないかとジョングクは心配になる。
ジョングクが被せたバケットハットのおかげで、顔はほとんど見えないけれど、気づく人は気づくだろう。
顔が見えなくとも、ユナには一目を引く雰囲気がある。
今だって、騒がれてないのはほとんど奇跡に近い。
あまり長いする訳にも行かないから、彼女の迎えはいつ来るのだろうと思って尋ねると、ユナが急に視線を彷徨わせた。
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作者名：kamome | 作成日時：2023年1月16日 17時
