#11-1 JK ページ2
チャイムが鳴る音に、急いで扉を開けると、ユナを背負ったユンギが立っていた。
マネージャーからユンギたちの荷物を受け取って、ユンギの後をついて部屋に向かう。
「ヒョン、荷物ここに置いておきますね」
SG「ん、ありがとな」
ユンギの上着を頭からすっぽり被せられたユナは全く顔が見えなくて。
それもまたヒョンの配慮だろうと、ジョングクも部屋には入らなかった。
キッチンに戻ると、ジンが料理をしている真っ最中だった。
火にかけられた鍋からはほのかな香辛料の香りがする。
「チュク(粥)ですか？」
JN「食べられるかわかんないけど、一応ね。…味見してみて」
「、ん、美味しいですけど…味が薄すぎませんか？」
JN「これぐらいでいいんだよ」
「…ヒョン、僕にも何かできませんか？」
JN「お？それじゃあ、ベスク(梨熱)…は梨がないから、りんごにしよう。グガ、りんごをすりおろして、生姜と蜂蜜を少し入れて、一緒にそこの小鍋で煮込んで」
「ネ。…こんな感じですか？」
JN「そう、ほんのりキャラメル色になったら、十分だよ。出来上がったら、チュクと一緒にユンギの部屋に持ってってくれる？」
「ネ」
ジンに言われた通りに小鍋で煮込んでいると、生姜特有の辛味とほんのり甘い香りが漂ってくる。
ーーーうん、味はいい感じだ。
出来上がったベスクを小皿に盛って、ジンが作ったお粥と白湯も一緒にトレーに乗せた。
トレーを持って、ユンギの部屋の前に立つ。
少し緊張しながらノックすると、「入って」とユンギの声が聞こえて、恐る恐る扉を開けた。
「ヒョン、チュクとベスクを持ってきたんですが…」
SG「ありがとう。そこに置いといて」
音を立てないようにそっと部屋に足を踏み入れる。
入り口付近に置かれた棚の上にトレーを乗せて、部屋を出ようとすると、ユンギに引き止められた。
SG「ちょっと風呂入ってくるから、ユナのこと見といてくれる」
「え！、」
SG「もし俺が戻ってくる前にユナが起きたら、呼びにきて。あ、…ユナに変なことすんなよ」
「しませんよ！」
SG「冗談だよ」
ーーーいや、全然冗談言ってる目じゃないし。
握っていたユナの指を慎重に解いたユンギは、急足で部屋を出ていく。
残されたジョングクは戸惑ったようにあたりを見回して。
とりあえずベッドに背を向けて、手近にあった椅子に腰掛けた。
ユナが動く音がする度に、心拍数があがる。
ーーーヒョン、早く帰ってきて。
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作者名：kamome | 作成日時：2023年1月16日 17時
