006：君だけ知らない ページ7
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連れてこられたのは屋上。
朝はあんなにいい天気だったのに、今はどんよりと重そうな雲が広がっている。
「(雨、降りそう)」
「A」
空を見ていると再び手を引かれる。
その力はさっきよりも強くて、気を抜いていた私は焦凍くんの腕の中へと導かれた。
…って、おい。
朝と同じじゃないか。
「あの、焦凍くん」
「なんだ」
「なんで、こうなってるのかな？」
「抱きしめたかったからだ」
なんだ、それ！
イケメンなら何をしても許されると思うなよ！
…とか言ってやりたいけど、私の今の真っ赤な顔では何を言っても説得力に欠ける…
「なぁ」
「はい」
「…なんで俺のことだけ忘れてんだよ…」
「えっ…」
びっくりした。
さっきのまでの凜とした声とは違う。
震えていて消えそうな、弱々しい声。
「麗日のことも相澤先生のことも覚えてた。クラスのやつらのことは、覚えてるんだろ？」
「…うん」
「…ずっとAのそばにいたのは俺なのに…なんで…」
答えられなかった。
自分でもなんでかわからない。
幼なじみなら、その絆も思い出も誰より濃いはず。
なのに、なんで…？
「ごめん、焦凍くん…」
「…謝らなくていい……」
そんな声出されたら申し訳なくなるって。
「ねぇ」
「なんだ」
「…昨日、何があったの？」
聞いた途端にパッと体が離れる。
…なんだその顔は？
困ったような戸惑っているような、そんな顔。
「何があったかは、俺にもよくわからないんだ」
「どういうこと？」
「…昨日俺は、路地裏で座り込んでるお前を、見つけたんだ」
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一日が長いですねっ
何話続けるんだって我ながら思う…
読んで下さってる方、本当に感謝です！
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作者名：海月 | 作成日時：2017年6月19日 23時
