005：消えた昨日 ページ6
昼休み、職員室ーーーー
「おう、来たか」
気だるげな相澤先生。
ははは、行かないともっと怖いですからね。
…朝、遅刻ギリギリで登校したうえに、ＨＲが始まっていたにもかかわらず騒いでしまった。
言い訳などしません。私が悪い。いや、遅刻しそうだったのは私のせいではないけれども。
でも、
「すみませんでしたっ！！」
潔く頭を下げるべきだ。
「あ？」
何してんだ、という感じの声。
え、謝るだけじゃ足りないとか？
「…ああ、朝のことか。そんなことはいい」
「…へ？」
「それよりお前、大丈夫なのか？」
「……えっと、何がですか？」
てっきり朝のことで呼ばれたのだと思っていた。
真剣な顔でこちらを見る相澤先生。
怒るとか説教とか、そんな感じじゃないことは私でもわかる。
でも、なんのことかさっぱり…
「先生」
「？どうした轟」
「Aは自分で、昨日の記憶を"操作"していると思われます」
混乱する私の代わりに、焦凍くんが朝のことを話し出す。
淡々と簡潔に。
少し背の高い彼をチラリと横目で見た。やっぱりイケメンだ。
「…なるほどな。なら、いずれ記憶が戻るだろう。今無理に思い出す必要はねぇ」
一通り話すと相澤先生は納得したようだ。
はぁ、と一つため息をつくと私たちを職員室から追い出そうとする。
「覚えてねぇなら用はない。戻れ。
…轟、咲良を頼むな」
「はい」
…よくわからないが頼まれた。
どういうこと？訳がわからない。
頭は混乱したまま。
昨日何かあったのか？
相澤先生があんな真剣な表情をするほどの" 何か " が…
立ち止まって考えていたら、ぐいっと手を引かれた。
「A、話がある」
.
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作者名：海月 | 作成日時：2017年6月19日 23時
