【実況者】こちら、本拠地です。 (ページ8)

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放課後。
クラスにいる奴らは部活に向かったりただただだべったりして各々自由な時間を過ごしている。さっさと帰ろう、と意気込んだまでは良かった。しかし複数人の女生徒が私の身体を射抜くかのような視線を向けてくる。ケバケバしい化粧とやけに白い肌は否応なしに嫌悪感を生ませる。

「ちょっとぉ、柊木さん？また新垣くんと青柳くんの近くに擦り寄ったでしょぉ？」

ねっとりと粘つくような声で話しかけてくる。正直気持ち悪い。擦り寄った覚えはない。いつも通りに話していただけだ。でもそんなことを言っても無駄だし何よりただの嫉妬だろう。どうにか理由をつけて私と関わっているという謎のムシャクシャを晴らしたいだけだ。子供じみている。

「別に、擦り寄ってない」

簡潔に言い、荷物を持って去ろうとしたら肩を掴まれた。爪がワイシャツに食い込み少し痛い。彼女らの顔を見れば憤怒で満ちていた。

「は？てめ、こっち来いよ」

あぁ、これは長くなるな。何処かで諦めている自分がいた。教室から引き摺られるように女子トイレに入れられ、扉をガムテープで強引に閉じられ、一方的に罵声を浴びせられる。

「ふざけないでよ！祢糸くんは私の彼氏なんだから！」

「そうよ！絡斗くんも私の彼氏なのになんで擦り寄るのよ！」

別にあんたらの彼氏じゃないだろ。妄言吐くなよ、とつっこみたくなるが後々面倒なことになるため慎んで黙る。その代わりこう返した。

「別に、私の彼氏じゃないし、擦り寄ってない。勝手にすれば？」

そうすると扉越しに怒りのオーラが伝わってくる。おー怖い怖い。
一瞬遠ざかったと思ったらまた近づいてくる足音が聞こえ、上から大量の冷水が降ってきた。
ざばぁあ…と制服ごと濡らされ、溜め息をつくと

「いい気味、もう近づかないでね」

嘲笑混じりに言われ、もう一度盛大な溜息を着きハンカチで拭えるところまでしてガタンっと扉を蹴飛ばしガムテープを強制的に外す。
向こうの女生徒はその音と私の睨みでビクッと肩を揺らし、逃げるが勝ちと言わんばかりに早い動きで去って行った。こういう奴らは逃げ足は早いんだから全く…

びしょびしょになった制服を見下ろしベスト着れば何とかなるかと思い誰もいなくなった教室に戻り急いで支度をして下駄箱に向かう。
いつの間にか日は傾き始めていて、夕焼けが眩しい。しかし熱気は未だに残っていてこの分だとすぐに濡れたものも乾くかなとか思いつつ、帰路につこうとした。なのに

「A、大丈夫？」