【実況者】こちら、本拠地です。 (ページ19)

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キヨとレインが去ったリビングは、しかしさっきと同じように重苦しい雰囲気を作っていた。

「レトさん」

P-Pが口を開き苦虫を噛み潰したような表情でこう言った。

「レトさんは……何がしたかったの？」

すると動揺したのか目を伏せて視線を彷徨わせ、やがて諦めたようにため息をついて言った。

「この間さ、電話した時にな…なんか声、暗かってん。せやから過去の云々を取ってやろうかなって…」

「それがこれか」

「おん…色々予想外やわ……」

背中に壁をつけてズルズルと座り込み項垂れた。すかさずつわはすがそう言い、さらに追い討ちをかける。

「なんつーか…レトルト、お前一歩間違えればなぁ…」

「わかってるよ。けど…出来ることなら助けてあげたかったんや」

迂闊だった、とレトルトはぼそっと呟いた。
いつもなら石橋を叩いて渡るどころか叩きすぎて壊しかねないレベルのレトルトが先走ってしまった。もしかして、それほどまでレインは危ないところまで来ているのだろうか。そんな考えが浮かんで、疑惑は確信へと変わりかけていた。そんなことは無いはずだ、と信じたかった。三人は顔を見合わせ、苦笑いする。

「レトさんは…もう……」

P-Pがそう聞くとレトルトは顔を上げて

「多分な…レインちゃん、動画終わりにすると思うんよ」

「やっぱり…分かってたんだ……」

「うん…実況してる時のあの子、すっごい自然体に見えてな、俺らのせいで居場所消したくなかったん」

「……でも、レインはもう超会議とか超パの時みたいに子供のまんまじゃないんだ。そんくらい、自分で分かると思う」

「うん…やっぱり、そう、だよね」

沈んだ声でそう答えた。
小さな声で牛沢が呟いた。

「助けが本当に必要になったとしても、俺らじゃねぇけどな」

「うっしー、どういうこと？」

「あいつはあいつで仲良い奴出来たっぽいしな」

「って、うっしーも保護者感溢れる…」

「るせ、ほっとけ」

「どちらにせよ、何かあっても大丈夫なんだろうね」

そう言って締めくくり、お開きとなった。
レトルトの予想が当たるとも知らずに。