【実況者】こちら、本拠地です。 (ページ15)

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そしてイベント終了して数日がたった。
知らないふりをすることは案外得意で、何事も無かったかのように実況動画を投稿し青鳥も更新する。そう、私は極めて普通のいつも通りの行動をしている。
そう暗示しないと斬られた時の感覚とか向こうの表情とか全部思い出して動けなくなる。てかこの時点で思い出してんじゃんか。
あぁっ、と頭を抱え込むところまでがセット。これを今大体5回くらいやってる。まぁ自宅だから誰も見てないし別にいいけど。

「どーしよーかなー……」

一応私の願いも聞いてくれて騒動自体は表にはでてないがハイタッチの時にあの辺にいた人たちが変に騒いでるせいか軽く燃えてる。対処法は、ない。というよりも諦めた。もう過去は変えられないしね。人生諦めが一番、千里の道も諦めからと小ボケをかましつつぐおっと伸びをする。その時インターホンが鳴らされた。
現在土曜の午前。今日も今日とて働いている両親だったら鍵を開けて入ってくると思う、なら誰だ？

「はー……い？」

扉の先にいたのは成人男性の平均身長を遥かに上回っているであろう奴。まぁ簡単に言うとキヨさんだ。

「なしてここにいるんです？はよお帰りくださいな」

「いや、なんかレトさんがお前を呼んでて」

「えー…断っちゃダメっすか？」

「俺レトさんとお前で板挟み状態かよ」

大人しく来いよ、と腕を引っ張られるが何分準備もくそもしてないので一旦待ってもらい必要最低限のものだけを持ってでる。
疑問に思っていたことを吐き出す。

「てかなんでお呼ばれなんですか？」

「知らねぇよ。…まぁ知ってるけど」

「どっちなんですか…」

あやふやな言葉にため息混じりに突っ込みつつ、大人しく助手席に乗り込む。
車内をぐるりと見回すと何度か乗らせてもらった、というか強制的に乗らされた時よりも幾分か使い古されているようで傷とかが増えてた。
静かに発進する。
一言も喋らない車内はエンジンの音だけが虚しく響いている。この人ヤンキーっぽい見た目の割には運転が上手くて揺れが少ないんだよな…まぁ中身は割と優しいってこと知ってるけども、ね？
僅かな振動と少しだけかかっている冷房と色々な疲れのせいでいつの間きやら私の意識は深いところに沈んで行った。