【実況者】こちら、本拠地です。 (ページ14)

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いや、まぁパーカーがダメになってるからそりゃ出ようとはしないけどさ。
思ったよりも驚いた。というか、若しかしたら初めてねがに女扱いされたかもしれない。
まぁもっとも、白パーカーの一部がボロボロになって紅く染まってる奴に出て欲しくはないと思うが。畜生予備持って来りゃよかった。
先程巻かれた包帯の腕を上げ、ブンブンと振ると自由に動かすことは出来るがズキズキとした痛みが走る。こりゃ暫くは激しめのやつは出来ないなと腕を下ろしてため息をついた。

それから何分くらい経ったのだろうか。
ガヤガヤと喧騒が向かってくる。やだなにこれ怖い。楽屋の扉が開くと心配そうに話しかける人もいる、てかそれしかおらん。まぁ超ありがたい。

「レインちゃん大丈夫？」

「まぁ怪我してませんし」

「してるじゃん！」

心配そうに話しかけるふうはやさんと突っこむぴくとさん、うーんさすが。
ポリポリと頭を掻き

「まぁ大事にはしたくないんで、まぁ説明だけ後で鎌田さんとかリスナーに伝えときます」

「穏便に終わるといいね…」

「ほんそれ…」

はぁあ…と盛大な溜息をつきこの後のことを想像する。これ私ワンチャン事務所辞めなきゃ行けないパターン？それはヤバいな…事務所辞めたら色々なことが大変になる。それは回避せねば。てかこの騒動ってもう広まってんの？その思考に至りサクサクと調べると青鳥では既に大量のリプが送られてきてる。スっと目を背け画面を閉じる。

「私は何も見ていない私は何も見ていない…」

「現実から目を背けるな」

「嫌だ…これは悪夢だ…」

ガタガタと大袈裟に体を震わせスマホを投げつける。それを器用にキャッチして握らせてもう一度投げつける。なんならこれ永遠ループ出来るんじゃね？とか思い始めるとマネージャーさんが入ってきて楽屋の外に連行された。他三人には暖かい目で見送られた。助けなんてなかったんや…。

「まず一言」

「…はい」

「怪我は腕と手だけ？」

「一応」

「騒動には？」

「したくない」

「社長には？」

「言ってない」

「言ってきなさい」

「…はい」

一言じゃねぇ…。と突っ込みつつ背中を押され社長と話す。この人優しいけどどうも腹の底が見えない。経緯を大雑把に説明したらマネージャーに叩かれたので丁寧に説明した。理不尽。
聞き終わるとニコリと笑い

「大丈夫だよ、辞めさせる気はないし」

「有難いことっすね」

「でも、気をつけなよ」

「はい」

そして私は部屋から立ち去った。