悲しく愛おしい ページ15
目を覚ますと保健室の天井だった。
右腕がやけに重たくそこに目をやれば櫻井がすぅすぅと寝ていた。綺麗な顔に少し泣き跡のようなものもあった。
ほっぺたと首には湿布がはられていた。
最終下校時刻のチャイムが鳴り響いた。
それでも櫻井は起きなかった。
A「櫻井……起きなさい。腕が痺れたわ。」
右腕を揺らしながら櫻井を起こす。
櫻井「んー……会長？……会長？！大丈夫？？」
ばっと起き上がりすぐに声をかけてきた。
A「大丈夫よ。それより……最終下校時刻でしょ？見回りとか生徒会のほかのメンバーは……大野はどこに……」
櫻井「大丈夫。見回りとか目安箱は全部大野さんがやっといてくれたよあの事件の間に。」
A「さすがね……指示なくても動いてくれる人は大野しかいないわね。」
いきなり抱きしめられた。
櫻井「会長……もう無茶しないで。お願い。心臓止まるかと思った。」
A「わかった。ごめんなさい。」
櫻井「先生たちに入口で止められてたけど会長を見たらいてもたっても居られなかった。高橋先生を殴っちゃって……マイナス1点されそうになったけど学園長に助けられた。」
A「うん……。大丈夫。後で一緒にお礼言いに行きましょうね。」
櫻井「会長が起きなくて怖かった。呼んでも返事がなくて…目も開けてくれなくて。」
A「大丈夫よ。私は生きてる。櫻井のおかげよ？ありがとう。」
櫻井は静かに腕の中で泣いていた。
泣かせてしまった。私が。私自身の行動がこの人を泣かせてしまったのだと考えると酷く悲しく愛おしくなった。そしてまた、もやもやもあった。
しばらくして落ち着いた櫻井が生徒会室に行こうと言い出したので賛成した。
櫻井「歩ける？おんぶしようか？」
A「歩けるに決まってるでしょ」
そんなやり取りしてたら保健室の扉があいた。
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作者名：るーちゃぴ | 作成日時：2021年11月16日 15時
