ESCAPE GAMEⅡ (ページ39)

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○○ビルは、駅近くにある廃墟ビルの中でも小規模なもので、よく近所の中学生が溜まり場にしていた。

銃を持ち歩いているような大人たちじゃないだけ、この街でも治安が良い建物だろうが、あえて近づくこともしなかった場所だ。

この時の私は、裕也を助けることに必死で、なぜ呼び出されたのかなんて、考えもしなかった。

貴｢裕也､､もう少しだからね……。お姉ちゃんが絶対……｣

助けるから。

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走って走って、やっと着いた○○ビルの入口。

止まることなく流れる汗をぐっと拭い、私は荒れ果てたその建物の中へと足を踏み入れた。

そこに居たのは数人の男達。

男達はマスクをつけていて顔は見えないが、多分20代くらいだろう。

その男達の後ろに、裕也はいた。

怯えるでも、泣き喚くでもなく、ただただそこに、

横たわっていた。

｢やっと来た。待ちくたびれたわ｣

ボイチェンジャーをかけているのか、男の声は機械的な低さになっていた。

この街で正体隠したりしなくても、警察に捕まったりなんかしないのに、変な奴だ。

でも、そんなことを気にしてる場合じゃない。

貴｢早く裕也を返してくれない？｣