ESCAPE GAMEⅡ (ページ38)

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88 過去編ページ38

私が家にいない時は、裕也の面倒は母が見る。

とはいえ、母はほとんど寝たきりだから、適当にテレビを見たり、オモチャで遊んだりするだけだが。

私が帰ったら母の部屋に行き、裕也を連れて散歩に行ったり、おやつを作ったり。

そしてその日も、私は4時まで学校で、

それから裕也と母と食べようと思っていた、ホットケーキの材料を買い、帰宅した。

貴｢ただいまー！｣

家の中に入っても、何も聞こえない。

でも私は寝ているのかな、くらいにしか思わなかった。

こういうことはよくあるから。

でも一応部屋にも行く。母が発作を起こすかもしれない。

貴｢お母さん、入るよ？｣

ノックをして部屋に入ると、お母さんは案の定ベッドで寝息を立てていた。

呼吸をのリズムも整っているし、問題無さそうだ。

しかし、その安心も束の間、私は大変なことに気付いた。

貴｢…裕也……？裕也は!?｣

そう、弟の姿が見当たらなかった。

貴｢どこにいるの!?裕也!!??｣

私はそこら辺をひっくり返しながら裕也を探した。

でも、いくら探しても裕也は見当たらない。

どうしていいか分からず、蹲り泣きそうになっているところで、1枚の紙を見つけた。

そこには、印刷された文字で、こう書かれていた。

『山本A

弟は預かった。助けたければ駅近くの○○ビルに来い。

来なければ、弟の命はない。』

気付けば、私は制服のまま家を飛び出していた。