ESCAPE GAMEⅡ (ページ29)

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静かな廊下に、私の声が反射して消えていった。

そして、間もなくして静かに、足音が響いた。

中「…………神ちゃん。」

現れたのは思った通り、神山さんだった。

ただ予想外だったのは、その手にナイフが握られていたことだ。

神山さんはこちらに近づくでもなく、ただ寂しそうに声を落とした。

神「淳太……、全部、言う通りやで。全部、全部。」

桐「……神ちゃん、鬼やったん？」

神山さんが頷くと桐山さんは悔しそうに歯を食いしばり、背中に隠していた永瀬の背中を押した。

桐「廉、行け。ここは俺が食い止める。」

永「でもｯ……！」

桐「いいから!!!」

泣きそうな桐山さんの声に一瞬戸惑いながらも、走ろうとした永瀬。

それを引き留めたのは神山さんの声だった。

神「待って……。話を聞いてほしい。」

あまりにも苦しそうに漏らしたその声に、誰もが胸を締められただろう。

誰も動こうとはせず、未だナイフを離さない彼の言葉を待った。

神「Aちゃんの言う通り、俺は鬼やで。

でも、ここに来たのは皆を傷つけるためやない…!!

もうさ、辛くなったんよ。このゲーム続けることが。

鬼になるってことは、仲間を裏切ることやから。

俺さ、さっきシゲと一緒に小瀧を眠らせた。

のんちゃんが意識を失う前、一瞬すごく悲しそうな顔したんや。

あの大切で何としてでも守りたかったのんちゃんの顔を、俺は曇らせた。

そのことが、辛くて……ｯ悔しくてしょうがない!!

俺、自分のことがどうしても許されへん。

自分の身の保障のために、ずっと一緒にいた皆を裏切ったんや……。

ホンマに、最低な人間やねん…ｯ!」

神山さんの綺麗な瞳から零れた涙が床に落ちた。

彼を見つめる桐山さんと藤井さんも、今にも泣きそうで、一生懸命涙を堪えていた。

そして神山さんは深呼吸をして、残りの言葉を落とした。