_20 ページ39
「葛葉の魔力…って言ってもこうして自我を持っているのはキミの夢の中だけだし、葛葉はとっくに成人して僕じゃない別の魔力を手に入れたけどね」
私の心を読んだかのように目の前の少年はそう言う
「…なんで葛葉の姿をしてるの？成人して別の魔力を手に入れたってどういうこと？なんであなたは私の夢に出てこれたの？」
「ちょちょちょ、質問が多いって！覚えきれないよ、1つずつお願い」
そう言って慌てたように両手を胸の前でばたつかせる少年…いや魔力…？
その行動がなんだか小さい子供のように見えて思ったよりも悪いやつでは無いのかもしれない、と少し警戒をゆるめる
そして「さぁどうぞ？」なんてカッコつける魔力に質問をぶつけた
「あなたは、なんで葛葉の姿をしてるの？」
「葛葉の魔力だからね、葛葉の姿なら簡単に模す事が出来る。それにキミと話すにはこれが一番かと思って」
こて、と首を倒しこちらを覗き込んでくる魔力の視線から逃げるようにして私は数歩後ろに下がったあと、また質問をする
「別の魔力を手に入れたってどういう事？」
「吸血鬼は赤子のから幼児になる時と幼児から成人になる時に自分の中の魔力をゼロから作りかえなきゃいけない。僕は葛葉が幼児の時の魔力。今キミの家にいる葛葉の中の魔力は成人してからのものだからキミのことは知らないけど僕はキミのことを知っている
まぁ葛葉自信が覚えていればその記憶は僕らにも伝わるんだけどね。今の魔力の言うことにはキミのことは知らないらしい。残念、葛葉はキミのことを覚えてないみたい」
ま、キミも葛葉のこと忘れてたみたいだけど、と少し拗ねたように呟いた魔力に面食らう
ころころと変わる態度はまるで本当の子供みたい
もしかして、幼児の時の魔力は幼児に似るのだろうか
「なぁに？考え事かな、質問はもう平気なの？」
私が少し考え込んだ間に魔力はそんなことを言って面白そうに笑う
それに「判決が早すぎるよ」と返し私はさらに質問を重ねた
「じゃあ、これが最後の質問」
「うんいいよ」
「なんで私の夢に出てきたの？
…何を伝えようとしてるの？」
私の言葉に魔力は紅い瞳を大きくして黙りこくった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 816人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：でん太郎
| 作成日時：2022年10月8日 20時
