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俺は吸血鬼として生まれた
母親も父親も兄も、家族全員が吸血鬼
生まれた時からずっと
吸血鬼という生き物はなんだか難しいと思う
人間の血しか吸えないくせに実は血が好物な訳でもない
人間の食い物でもまぁなんとか生きていけるし
あと、魔界の中で唯一魔力を代替する生き物だ
幼児の時に1度、幼少の時に1度、成人してから1度、自分の中の魔力をゼロから構築し直さなくてはいけない
そうしなければ魔力が自分に過度に馴染み、最終的に溶けてなくなってしまう…らしい
魔力が無くなってしまえば吸血鬼として存在し得なくなってしまう。消滅するのだ
俺はそんなことになったヤツを見たことがないから分からないけれど
そんな感じで作り替えた魔力は全く別のものになるから馴染むのにまた時間がかかる
前の魔力を体が覚えているから新しい魔力を拒否してしまうのだ
そう、体が前の魔力を覚えているのだ
「…おまえ、は…前にも俺とあったことがある…？」
はるの体から微かに香ったのは確かに俺の魔力の匂い
懐かしい、成人前の魔力の匂い
あぁそうか
はる倒れたのは、俺の魔力同士が喧嘩したからだ
はるに何故俺を助けるのかと聞いた時、嘘が付けないように魔力で脳を縛った
はるの体内に入り込んだ俺の魔力は、以前はると会った幼少の俺の魔力とぶつかり爆発したのだろう
魔界で、1度自分以外の魔力にかかった人間を魔力にかけるのは禁忌とされている
大体からして人間と接触することが少ないから、そんな禁忌もほぼ意味を生していなかったが、あぁこういうことかと直面してから思い知る
…おれのせい？
目の前で苦しそうに息を吐くはるに俺の心臓はキリキリと痛む
俺が辺に勘繰らなければ、もっと早くはるの中の魔力に気がついていればこんなことにはならなかった…？
なぁ、俺たちが出会ったのは俺の魔力がお前の中に会ったから？
そういう運命だったから？
俺が、こんなにも簡単にはるを好きになったのは、自分の古い魔力に惹かれていたから…？
ことことと煮詰まる思考に目が回る
自分の古い魔力に惹かれるなんて聞いたことも無いのに、なぜだか1度浮かんでしまったそれは簡単には消えなくて
「…はる、」
ずっと傍にいたかった
俺が元に戻っても、その相手はお前が良かった
まだまだお前のことを知りたかったよ
俺は、熱い息を吐くその唇にそっと自分の唇を重ねた
「あいしてる」
たとえそれが自らの意思では無かったとしても
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作者名：でん太郎
| 作成日時：2022年10月8日 20時
