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はるが風呂を沸かしてくると言ってリビングを去ってから約5分
はるの立ち去った方向からなにか人間が倒れたような、派手な音が響いてきた
「…いやいやいやいや」
人間が倒れような、じゃねぇだろ
たおれた、、だろこれ
「っはる…！」
体が思考に追いついたと同時に俺は勢いよく立ち上がり風呂場へと走る
ドタバタと騒がしい音を立てながら押し入った風呂場では想像通り、いや出来れば勘違いであって欲しかったが、、はるがぐったりと床にくずおれていた
「っはる！！！」
慌ててその体をかき起こせば顔は真っ青に染まり、体が小刻みに震えている
そんな状態なのにも関わらず俺の顔を見たはるは少しだけ口角を上げて音になっていない「大丈夫」をこぼした
大丈夫なわけが無い
明らかにやばいことは分かるのにどうすればいいのか、どうするのが正しいのかが全く分からない
俺がどうするべきかと悩みあぐねている間にもはるの体からはどんどん力が抜けていき濡れたせいで冷えたのだろう、体温が急降下していく
…とりあえず暖めなければ
このまま濡れた床にいればそれこそ良くなるわけが無い
しかし移動させようにもはるは自力で歩けない
俺が運ぶしかないのだ
俺の筋力が、とか言うことではなく、異性に勝手に触れてもいいものかという問題
しかしそんなことも言っていられない
こうしている間にもはるの顔色は悪くなる一方なのだから
「…っ悪い！さわる！！！」
後で文句とか言うなよ！！！そんな意味も込めて叫びはるの体を抱きかかえる
そのまま寝室へ駆け込み濡れた服を脱がせベッドの脇の棚から適当な服を着せてから冷えきってしまった体を毛布でぐるぐると巻いてからベッドへ寝かせた
…いやちがう、不可抗力だ
俺は何も見ていないし見たいと思っていたわけじゃない、はるもそう説明すれば分かってくれるはず…
誰に伝えるでもない言い訳を頭で呟く
そしてもう一度毛布に巻かれたはるの方を見て、湯たんぽ必要かなとか、水いるよな、とか考えが巡りそれらを取りにキッチンへ行こうとした時
ぐいと引かれる感覚
振り向けばはるが俺のジャージの袖を控えめに掴んでいて、はるが弱々しく俺の袖を掴む姿にこんな時なのにも関わらず心臓は大袈裟に跳ね上がる
それと同時に、はるから流れてきた匂いがひとつ
…あぁもうなんなんだ
お前今の今まで元気にしてたじゃん、なんで倒れてんだよ
なんで、、、なんで俺の古い魔力の匂いがするんだよ
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作者名：でん太郎
| 作成日時：2022年10月8日 20時
