ポメラニアン、拾いました。 (ページ27)

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「うーーん、ここにもないよ」
「僕も何も見つけられん」

葛葉の部屋の中に手がかりがないかと探し始めて早1時間と少し
私と葛葉と叶くんの3人で部屋の隅々まで探したはずだったが、葛葉の身に起こったことの手がかりになりそうな物は何も見つからなかった

「ねえ、はるちゃんはなんで葛葉のためにここまでしてくれてるの？」

あまりに見つからないものだから飽きてきたのだろう
叶くんはリビングの座布団に腰を下ろしてそう言った
そんな叶さんに葛葉が「んなくだらねぇ事聞いてないで探せよ…」なんてボヤいたが、何しろ何も見つからないのだ

少しの間休憩するべきか、と私も叶くんの向かいに腰を下ろし本格的に雑談モードに切り替えた

「んー、元々ポメラニアンを拾ったつもりでいたから、大切な飼い犬の危機、みたいな…」
「嘘じゃん葛葉が飼い犬って、おもろ」
「テンションがおもろいのテンションじゃねえんだよお前は」

そんな私たちにつられたのだろう、葛葉は叶くんの頭に弱めの手刀を落としてからその横に座った

「叶くんも親友が犬になってたなんてよく信じたよね」

手がかりを探すため必死になっていた叶くんの様子を思い出しそう言うと叶くんは少し視線を泳がしてからこう言った

「まぁ、吸血鬼なら何があっても信じざる負えないみたいな」

「あっおい！」なんで葛葉の焦った声
私はそんなに葛葉の様子と叶くんの言葉に首を傾げた

「きゅう、けつき？」
「…えっなに葛葉言っとらんの」
「言ってねえよ馬鹿…」

えっ、吸血鬼って、人の血吸うやつ…？
いや、存在することは知ってたけど、え？？？
目の前の葛葉が、吸血鬼…？？？

「おいはる、おい…お前がいきなり言うから…どうすりゃいいんだよ」
「もう言ってるのかと思ったんだよ、はるちゃーん？大丈夫？お水いる？」
「い、いや、大丈夫です」

2人が私を呼ぶ声に一瞬遠のいた思考が戻ってくる
そうだよね、びっくりするよねなんて笑ってる叶くんにそりゃびっくりしたよと心の中で返す

「葛葉が吸血鬼って…」
「あー…吸血鬼です」

「自己紹介かよっ」なんて叶くんの明るいツッコミが入ったけどごめん今それどころじゃない

「吸血鬼って、え、と…に、ニンニク嫌いなのほんとですか…」
「ニンニクはまぁ、割といけます…」
「あっ、なるほど…」

やめてほしい、心底不思議そうな目で私たちを見るのはやめて欲しいよ叶くん