ポメラニアン、拾いました。 (ページ26)

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狭い一室

俺たちは床に3人で丸くなるように座っている
叶とこともこれまでの事も一通り説明を終えた俺は何だか肩の荷が降りたような気分でいたが、目の前の2人は違うようだった
同じように手を顎に添え首を傾げ、当事者である俺を置いてきぼりにして2人で討論を交わしている

「じゃあ葛葉はポメラニアンになってもキスすれば元に戻れるってことですか？」
「戻る方法が本当にキスかどうかはまだわからないんです。キスと言っても犬の口と私の口がぶつかっただけですし、本当はぶつかったかどうかも一瞬すぎてよく分かっていないので…」
「なるほど。じゃあとりあえずはこのまま人型でいれる事を願って、もしまた犬に戻った時にいろいろ試すしか無いって事か」
「そうなりますね、もしかしたら強い衝撃で元に戻るって可能性もあるので」

「あとは葛葉が高いところから自ら落ちるとか」
「…それはいろいろ危険性が高すぎない？」
「葛葉なら大丈夫でしょ」

「そういうものなの…？」
「そういうものなの」

「いや流石に死ぬが？？」

お前らはいったいどういう会話をしてんだ

思わず突っ込んだ俺は4つのターコイズブルーに不思議そうな視線を向けられた

「おんなじ行動すんのヤメロ」なんて言った暁には2人同時に「えっおんなじ行動なんてしてないよ」なんて言うのだろうか

気持ち悪いな
想像の中だけでも気持ち悪い

うげぇ、と舌を出した俺は2人に「当事者俺なんだけど」と不満たらしく告げた

「だあってくーちゃんぼんやりして僕とはるちゃんの話聞いてないから。ねぇはるちゃん」
「そうだよ、葛葉も話に入ってくればいいのに。ねえ叶くん」

この2人一体いつ仲良くなったんだ？？？

「ねえ」なんて顔を見合わせ笑い合うはる叶に意味がわからん、と頭を振り一つため息をつく

「はいはい悪ぅござんした、っと」
「全然謝る気ないじゃん」

俺の言葉にむ、と眉を寄せたはる
その眉間に人差し指の先をぐいと押し付けその反動で立ち上がればば「んわぁ」なんて声をあげて後ろへ仰反る

「お前らあーしたらこーしたらって机上だけで話してさぁ…とりあえず家ん中探すぞ」

後ろへ転びかけたはるとそれを支えた叶を見下ろしながらそう言えば「葛葉カッコいい」だの「…たしかに！」だのそれぞれの反応を示す

…そこは揃わねぇのかよ

では早速、なんて様子で立ち上がった2人に俺は今日何度目かも分からない溜息を肺から吐き出した