キミを拉致せよ、一月九日。 (ページ14)

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十三日ページ14

「まじで！？」

昼食が済み、やれ食器の片付けだやれ洗い物だなんてしているうちに時間はあっという間に経ってしまい気づけば時計の針は2と6を指していた。三枝さんに借りている部屋で本でも読もうかとベッドに腰かけた私は突然聞こえて来た大きな叫び声に肩を揺らす

「…今の三枝さんの声だよね」

部屋と部屋をつきぬけてしまうほどの大声をあげる理由とは一体…？と首を捻るが三枝さんが何を理由に声をはりあげたかなんて当然分かるはずもなく「友人と電話でもしているのだろう」と勝手に納得する

つい先程リビングで分かれた時は「今から配信をするから申し訳ないが終わるまでできるだけ静かにしていて欲しい」と言われたばかりだったから、仕事中かと思っていたけど、これは仕事…の雰囲気ではなさそう

正直配信というものが何かはわかってないけれど、何かを配信するっていうんだからきっと勤め先の会社の商品のいい所なんかを配信しているのでは…？というのが私の予想だ

「こちらの商品は」なんて説明している三枝さんを思い浮かべてちょっと似合うな…と思う

しかし三枝さんさんのお仕事がなんであれ私は三枝さんに命を助けて貰ったも同然の身。大袈裟に思うかもしれないがあのままの生活を続けていれば私はいつか自ら命を絶っていたかもしれない。だから三枝さんの邪魔をしないよう、三枝さんの生活が楽になるようお手伝いが出来たらそれでいいのだ

そのためにはまず家事を任せてもらいたいが、今日はお昼ご飯を作らせて貰えたし、あの後三枝さんは「これ、毎日食いたい」なんて言ってくれたので「ぜひ毎食作らせてほしい」と頼み込めば少し焦った表情でそれは申し訳ないと断られてしまった

しかしそんな事でへこたれる私では無いのだ

お世話になるのだからなにか手伝いたい。と伝える私に三枝さんは少し考えた後「…じゃあ、飯だけ…」と言って頭を下げた。任されました！なんて大声で言えるはずも無かったが「美味しいご飯作りますね」と返せたので良くやったと思う

その後は2人で食器を洗いテーブルを拭き、諸々のあと片付けを済ませた後解散となった

「うーん…明日のお昼何にしよう」

隣の部屋から微かに漏れ聞こえる話し声を背に頭を占めるのは明日の昼食のメニュー。うーん、と頭を捻った私の耳に再び爆音の笑い声と「ふわっちさすがぁ！！」なんて声が聞こえて、「やっぱり友達と通話してたんだ」と1人頷いた