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「関係が始まってから、よそよそしいんですよ。一年の頃クラス委員を務めていた時よりもずっと他人行儀で、表情や会話に乗って伝わる感情も何だか薄い。そのうえですよ、僕がそれを指摘すると気まずそうに俯くんです。

2年生になってクラスは離れたしクラス委員も2人とも別の生徒へとゆずった。それでもA組とC組は同じ北校舎に配置されているでしょう?廊下ですれ違う事は少なくなくて、一言二言ですけど冗談を交わすほどの仲ではあって元々何度か僕と彼女が付き合っているという噂が流れたくらいには親しかったはずで。正直学内であれば彼女と1番仲のいい異性として名乗り出てもいいです。

彼女、頭も要領も良いから僕との契約関係をうまく使うだろって、僕も彼女がこの関係プラスに考えている間に彼女を堕として終えば良いかなって。知ってます?須永さん、実は押しに弱いんです。…そう思ってたんですけど、現実はそうでもなくて

まぁでも僕はそれでもいいと思うんです。
彼氏彼女といっても所詮は形だけですし、須永さんが僕を恋愛的には好いていないのは悔しいことにハナから分かりきっていた事です。
だからこそ、僕は彼女の今の態度に満足してるんですよ。

だって、今まではそこらの男子と大差ない関係だったのが今では契約であるものの、恋人。しかもこの関係になってからやたら僕と物理的な距離を取ろうとする。態度こそ冷たいけど、頬が赤いの僕が気づかないはずがないでしょう。

だからこのままいけばうまくいくはずなんですよ。
ね、ガクくん」
「あー、とやさんが思うならそうなんじゃないか?」

彼は液晶を眺めながら気の抜けた風船のような返事をした。

「なんかテキトウなんだよなぁ」
「テキトウじゃないっスよ!」
「携帯見てたくせによく言う」
「いやぁ…」

む、と口をとんがらせて不満を口にすれば、ガクくんはへらへらと笑う。

「まぁでも、もっと単純でもいいんじゃないか?例えば…好きな子に振り向いてもらうために頑張る、とか」

その言葉に僕は、思わず座っていた椅子から音を立てて立ち上がった。

「そんな単純じゃないんですけど、」
「いやいや!そんな単純なんですって。だって、とやさんの口数多い時は大体焦ってる時だろ?」
「…なんだよその顔、腹立つなぁ」
「ははっ、図星」

だから、この男はきらいなんだ。僕とは反対に机に頭を寝せてにんまりと笑った伏見ガクに僕は再び唇をとんがらせてむくれるしかなくなってしまうのだ。

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作者名:でん太郎 | 作成日時:2022年10月2日 17時

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