♪再会 ページ2
トットムジカから解放されたエレジア。
ルフィ達みんなは眠ってて、私の傍にはシャンクス達がいる。
シャンクスが私の体を支えてくれている。
立つ力なんて残っていない。
それでも霞ゆく視界の中、私はある人の姿を探す。
「ねぇ、シャンクス
“先生”は？」
出した声は掠れていて、それでもシャンクスはちゃんと聞き取ってくれた。
「アイツは───」
シャンクスの言葉を遮るように私の前に現れた影。
あの頃とは変わり果てた姿で、けれど面影は残っている。
「せん、せ……」
その人の目を見るのが恐くて。
『ウタ……』
そっと先生の手のひらが私の頭に乗っかった。
掛けられた声は、今の私には優しすぎた。
あまりにもそれらは昔のままだった。
『今までよく頑張りましたね。
流石、僕たち赤髪海賊団の音楽家だ。』
頬を暖かいものが伝う。
こんなことして、シャンクスやみんな、応援してくれたファンの人達にもたくさん迷惑を掛けたのに。
そう思う反面、
そうだよ。頑張ったよ。
でもどうしていいか分かんなくなっちゃったの。
本当はね、みんなに喜んでほしかっただけなの。
そんな気持ちも心にあった。
『ウタ、君はね、本当に優しい子ですよ。
それは僕たちも、君のファンも、みんなが知ってますから。』
辛かったね、寂しかったね。
そうだよ。
辛かったよ。寂しかったよ。
もっと、もっと赤髪海賊団のみんなといたかったのに。
『助けに行けなくてごめんなさい』
顔を見るのが恐いなんて、もう思わなかった。
先生がゆっくりと私を抱きしめる。
「先生…わたし……私、は……」
シャンクスにも、みんなにも置いていってほしくなかったよ。
ずっと一緒にいたかったよ。
だって、私は赤髪海賊団の音楽家だもん。
言いたいことは有り余っているのに、どれ一つとして言葉にすることは叶わなかった。
ただひたすらに先生の服を握り締めて、子どもみたいに大泣きする。
シャンクスも懐かしい手つきで頭を撫でてくれている。
嗚呼、私もシャンクスも先生もみんなも、赤髪海賊団は何も変わっていない。
────こうしてみんなに囲まれていると、あの楽しかった日々がまるで昨日のことのように蘇ってくる────
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作者名：凍ったライム | 作成日時：2022年10月1日 0時
