いのちだいじに【鬼滅の刃】

能 ページ26

産屋敷が口を開く。

「炭治郎
それでも まだ禰豆子のことを快く思わない者もいるだろう

証明しなければならない
これから 炭治郎と禰豆子が鬼殺隊として戦えること 役に立てること」

(何だろう この感じ
ふわふわする…)

「十二鬼月を倒しておいで
そうしたら皆に認められる
炭治郎の言葉の重みが変わってくる」

(声？
この人の声のせいで頭がふわふわするのか？

不思議な高揚感だ……！！)

竈門は感情の昂ぶりのまま、宣言した。

「俺は…
俺と禰豆子は鬼舞辻無惨を倒します！！

俺と禰豆子が必ず！！
悲しみの連鎖を断ち切る刃を振るう！！」

突然の宣言に産屋敷の娘は目を丸くし、産屋敷は微笑んで言った。

「今の炭治郎にはできないから まず十二鬼月を一人倒そうね」

「はい」

竈門は顔を真っ赤にして答えた。

(だめよ 笑ったら
だめだめだめ！)

他の柱の多くが笑いを堪える中、榊は思った。

(ふふ……
ええ子やなぁ。
そういう想いは言葉にすることで自分が奮い立つんや。

ウチも見習わんとなぁ)

産屋敷が言葉を続ける。

「鬼殺隊の柱たちは当然抜きん出た才能がある

血を吐くような鍛錬で自らを叩き上げて死線をくぐり 十二鬼月をも倒している」

「だからこそ柱は尊敬され優遇されるんだよ

炭治郎も口の利き方には気をつけるように」

「は…はい」

産屋敷の言葉を聞いて、榊は違和感を覚えた。

(才能？ ほんまにウチに才能なんてあったんやろか。

もしウチが稀血やなかったら。
もしあの時累に逢っとらんかったら。)

それらがなければ鬼殺隊の柱どころか、隊員としても認められなかったのではないか。

そう考えてしまう。

(呼吸が使えへんことを今更どうとも思わん。

せやけどウチは自分が他の柱と肩を並べられるなんて思えへんなぁ……)

榊の複雑な心境など誰も悟らず、産屋敷は不死川と伊黒に注意をした。

「それから実弥 小芭内
あまり下の子に意地悪をしないこと」

「……御意」

「御意…」

まだ納得はしていないのだろう。

二人は渋々といった様子で頷いた。

「炭治郎の話はこれで終わり
下がっていいよ

そろそろ柱合会議を始めようか」

「でしたら竈門君は私の屋敷でお預かり致しましょう」

胡蝶がニッコーと可愛い笑顔を浮かべ言った。

「えっ？」

困惑する竈門。

それを華麗にスルーし、胡蝶は手を叩いて隠を呼んだ。

「はい 連れて行ってください！」

「前失礼しまァす！！」

隠が物凄い勢いで彼を担ぎ上げた。

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