いのちだいじに【鬼滅の刃】

険 ページ21

その時だった。

竈門が口を開き、叫んだ。

「妹は俺と一緒に戦えます
鬼殺隊として人を守るために戦えるんです
だから」

そこに口を挟む者が現れた。

「オイオイ 何だか面白いことになってるなァ」

不死川だ。

「困ります不死川様 どうか箱を手放してくださいませ」

手に抱えているのは、件の鬼が入っているという箱。

「鬼を連れてた馬鹿隊員はそいつかィ
一体全体どういうつもりだァ？」

相当ブチ切れているのだろう、いつにも増して人相が悪い。

……普段も、決して良いとは言えないのだが。

「胡蝶様申し訳ありません…」

隠が顔を真っ青にして慌てふためいている。

「不死川さん 勝手なことをしないでください」

胡蝶もいつもの笑みを消し、静かに怒りを顕わにしていた。

『不死川くん……今すぐその箱から手ぇ離し
その鬼の処分はまだ決っとらんよ
まだ何もすんなや』

だが、二人の声を無視して不死川は続ける。

「鬼が何だって？坊主ゥ
鬼殺隊として人を守るために戦えるゥ？
そんなことはなァ

ありえねぇんだよ馬鹿がァ」

そうして、不死川は箱に己の刀を突き立てた。

(馬鹿はどっちや、このどアホ！
お館様来よったらどないすんねん
いや、それよりも竈門禰豆子か……
饑餓状態の鬼を傷つけてもうたら、出て来た時何するか……！)

『ちょお、不死川く……？！』

榊は不死川と箱を引き離そうとした。

然し、それよりも速く行動した者がいた。

「俺の妹を傷つける奴は 柱だろうが何だろうが許さない！！」

「ハハハハ！！ そうかいよかったなァ」

突進する竈門に高笑いをする不死川。

その場にいる者は皆、止めることが出来ない。

「やめろ！！もうすぐお館様がいらっしゃるぞ」

「！！」

冨岡の声に不死川の気が一瞬逸れる。

けれど、その一瞬が命取り。

不死川の振るった刀を避け、逆に竈門は強烈な頭突きをお見舞いした。勢い余って二人が倒れ込む。

冨岡は呆れたように顔を歪めるが……一応自分も原因だと自覚しているのだろうか。

「ブフッ
……すみません」

そして甘露寺は思わず吹き出す。

『不死川くん血ｨ出とるやん
頭突き一個でこれって……』

竈門炭治郎は石頭なんか？と榊は思う。

(冨岡が横から口を挟んだとはいえ不死川に一撃を入れた)

伊黒は驚いているようだ。

柱たちに構わず、竈門は後ろ手で箱の紐を握りしめて言い放つ。

「善良な鬼と悪い鬼の区別もつかないなら柱なんてやめてしまえ！！」

文→←雫

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