いのちだいじに【鬼滅の刃】

〃 ページ15

暗闇が支配する山では、視覚以外の五感が頼り。

(虱潰しやな。生憎、ウチは鬼の居所が分かる力なんて持ってへんし。)

『ほんならウチは北から見て回るから、時透くんは南から頼むな。』

そう言って、榊と時透は二手に分かれた。




遭遇したのは、時透だった。

対峙する。

相手は下弦の参、つまり嘗ての累より二個分、強い。

「柱？お前が、柱？

……嗚呼、なんて嘆かわしい！！鬼殺隊当主は耄碌でもしたのだろうか？」

「……五月蝿いなぁ、黙って戦えないの？」

「嗚呼、本当に嘆かわしいなぁ……
まだ幼い子どもであろう？」

五月蝿いって、言ってるじゃん。

「嗚呼、嗚呼！！

何と哀れ、何て悲劇であろうか！

まだ未来のある、世のことも知らない童が、殺されて喰われてしまうなんて────」


「────この子供たちみたいだ。」


「？！」

隠していたのか、この数の子どもを。

五人、いや六人か。

食べ残しが酷い。

身体の中でも特に柔らかい部分を喰っている。

(子どもばかり喰ってたのか。)

「子どもは元気だ……

良い肉を食えば、その分良い栄養が身に付く。子どもだから狙われるんだよ、可哀想に！」

可哀想、そんな風に哀れんでいる。

馬鹿馬鹿しい。

此奴は只の────

「さて、お前も喰ってやろう！」

大丈夫だ。

この程度の鬼に、僕は負けない。

さっさと首を斬って、解放してやらなければ。

早く、速く────！！



「助けて!!」



切り裂くような、幼い声。

そこに、人が。

「助けて、助けてお兄ちゃん！

僕、もうやだよぅ……」

「……出てきちゃ、駄目だろう？」

死にたくない、恐いと叫く子ども。

まだ居たのか。まだ此奴は隠していたのか───！


一瞬、気が逸れた。

刹那、靄が広がった。

(何だ、これ……！)

「分かるかい？分からないかい？

今苦しくても、直ぐ楽になるから安心し───」

何を言っているのか。いつにも増してボーッとする。

「わたしの血鬼術は！

────思考を蝕むのだよ。」





十二鬼月、下弦の参。

その血鬼術は、思考を鈍らせる靄を発生させる。

その靄は脳の活動を鈍らせ、やがて何もかもを忘れ、身体の機能すら停止してしまう。

(あれ、僕……型ってどうやって出してたっけ)

鬼殺隊の隊士も、何人もこの血鬼術によって殺されてしまった。

(まだ、身体は動くのに……！

どうやって倒したら良いのか、分からない)

















『────時透くん……？』

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