路 ページ2
雲一つない晴天が心地好い日。
その道には二つの人影があった。
この辺境の地では少々珍しい出で立ちで、然し辺境の地故に人の目につくことはなかった。
一人は黒い詰め襟の服の上に臙脂色の羽織を掛け、もう一人は着物に真っ白な布を頭からすっぽり被っている。
『ええ天気やなぁ。せや、終わったら婆ちゃん家行こか。婆ちゃんのお萩、累好きやったやろ』
「うん。……終わったら、ね。」
白い布を被った方は、どうやら男児で、累という名前らしい。
「姉さん。」
累が、姉に声を掛けた。
その声は酷く不安げで、けれども彼はそれきり黙ってしまった。
姉は弟の様子を察してか、手を優しく握って言った。
『大丈夫や。絶対、大丈夫やからな。』
そうして、道の端にある腰掛けを指して言った。
『あそこ、座っとき。もうすぐ隠の人が来てくれる言われてんねん。どんくらい掛かるか判らんからな、少しでも休んどき』
「姉さんは?」
『ウチは平気や』
そう言って姉は道の先を見遣った。
───まるで、来たる未来の善し悪しを見分けるかのように。
ところ変わって、此処はとある屋敷の前である。
此処には数人の男女────そう、実に個性的な数人の男女が集っていた。
「今回も誰一人欠けることなく集まれるとは!よもやよもやだ!!」
「そうですね。それに、今回の議題は新しく柱になるかもしれない人の話だそうですよ」
炎のような男が言い、蝶の髪飾りをした少女が答えた。
「柱候補なんてきっと凄く強いわね!」
「鬼殺隊が強くなるに越したことはないしな。まぁ、実力が伴っていればの話だがな」
桜餅のような色をした髪の少女と、口元を隠した青年。
「お館様が認めてんなら問題ねぇだろォ」
「……」
「ああ……共に戦う仲間が増えるなら歓迎だ……」
傷だらけの青年、半々羽織の青年、涙を流す青年。
「どうせなら派手なヤツがいいな!俺には敵わないかもしれねぇけど」
派手な装飾品を纏った青年。
「それが……少し訳ありのようで」
蝶の少女が言う。
視線が彼女に集まった時、少女の声が響いた。
「お館様のお成りです」
本日は鬼殺隊柱合会議。
この日を境に、運命の歯車は回りだす────。
────何処かで一つ、狐が咳をした。
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凍ったライム(プロフ) - 果っっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっちゃんさん» 更新停止なのにコメントありがとうございます。お館様の言葉の違和感は、お館様は目が見えないのにと空について話している言うことでしょうか?或いは言い回しですか?教えていただけると幸いです。素敵なイラストも拝見しました。画像を作品内に載せても構いませんか? (4月3日 1時) (レス) id: 946d60cede (このIDを非表示/違反報告)
果っっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっちゃん - https://picrew.me/ja/image_maker/2122621/complete?cd=vFTpJPNckI メーカーで作ってみました。 (4月2日 17時) (レス) @page11 id: e208a5b636 (このIDを非表示/違反報告)
果っっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっちゃん - 今日はとてもいい天気だね 空が青くて、とても綺麗だってお館様の言葉に違和感がある気がしてしまいます。余計だったらすいません。 (4月2日 16時) (レス) @page3 id: e208a5b636 (このIDを非表示/違反報告)
凍ったライム(プロフ) - ふぐひらめさん» テスト終わって見てみたらコメントが来てるだと……?!嬉しい〜!!ありがとうございます。弟子組のイメージはメーカー様をお借りして作ってみますね。関西弁は個人の趣味が出た結果でございます笑。羽倉の活躍も書けたらいいなぁ…応援を糧に、これからも頑張ります! (2022年8月31日 21時) (レス) @page34 id: 946d60cede (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - 追記:できれば弟子四人組のイメージイラストも見たいなぁ……なんて、すみません。わがままです!もしできそうならお願いしたいです! (2022年8月26日 6時) (レス) @page34 id: f76242864c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凍ったライム | 作成日時:2021年12月9日 16時