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そこで目が覚めた。阿部は懐かしい夢を見ていたようでぼんやりと天井を見詰める
あの時、もし渡辺が助けに来なかったら、自分は佐久間と共に此処に売られてモルモットにされていたのかも知れないな、それか上流階級の愛玩具のどちらか。どちらにせよ、
ab「地獄、だな」
そんな風に呟けば、ガチャリと部屋の扉が開いた。入ってきたのは能面を着けた作間と…見知らぬ赤髪の少年
sr「あ、起きてた！丁度ね起こそうと思ってたんだ」
「…どうも、」
ab「えっと…君は？」
ig「…猪狩、蒼弥です。管理コード20020920-【効率化による副産物】」
猪狩はそう言うと、特徴的な黒い瞳を伏せ赤い髪を揺らしながら一礼をする。その姿に阿部は見惚れてしまった。ただの少年ではないであろう彼は何処か妖艶な雰囲気を持っている。そんな阿部の姿を見た作間は頬を膨らせながら猪狩に詰め寄った
sr「ちょっとガリさん！誘惑しないでよ！」
ig「してないよ…作ちゃんの妄想癖。すみません、阿部さん…」
ab「いや、大丈夫だけど…」
ガリさんという呼び方。それは先日彼が殺されてしまうと言っていた人物の名前。そこで阿部は察する。この子が作間にとって余程大切な子だということを。自分の中で言う佐久間のような存在なのだろうと
ig「本題に、入ります」
sr「ガリさん無視しないでよ!?」
ig「作ちゃん五月蠅い、瑞稀くんと優斗が監視カメラ誤魔化している隙に計画立てるんでしょ」
猪狩はそう言うと、自分の影を淡く藍鉄鉱色に染めてゆく。そして部屋の中に影は張り巡らされ星空のような空間が生まれた
ab「すっご…、」
ig「…、宮舘さんが阿部さんサイド…つまり【Snow/Man】の一員となりました」
ab「えっ、」
そのまま星空に情景を映し出して猪狩は説明を始める。その景色は先日、宮舘と目黒が【Snow/Man】メンバーと交戦した時のものだ。宮舘と渡辺の和解を見た阿部は安堵の表情を浮かべる
sr「この交戦で宮舘さんが向こう行っちゃって管理長は激おこなんだよねぇ」
ig「目黒くんが居る現状、恐らくまた交戦を図るでしょう」
ab「そっ、か…」
sr「それで、その交戦に俺達、【H×2J】が参加しようかなって思ってて」
【H×2J】とは猪狩、作間を含め残り三人で構成された研究施設の精鋭である。もし何かあれば戦闘に駆け出すことも可笑しなことではない。今回の件で戦力が不足したことを理由に目黒と共に次の交戦に出られないかと作間が先生に直談判したのだ。作間は言葉を続ける
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作者名：賭果 | 作成日時：2020年7月5日 21時
