脚色 Ⅱ (ページ38)

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次に亮平が目を覚ました場所はガラス張りの部屋の中であった。目の前には白衣を着た人物が何人もおり、機械を操作していたり資料のような物を見ている者が居た。亮平はぼんやりとする頭で現状を捉え、自分が捕らえられているのだと察する

そして、目を覚ました様子に気が付いた白衣の女がマイクを片手に亮平の方を向く。天井に設置されたスピーカーから女の高い声が室内に響き渡った

　「こんにちわ、亮平君」
ab「…、」
　「此処は政府が管轄している施設です。貴方には異能力者(ジゼル)の傾向が見られたわ。これからいくつもの検査をします」

亮平は女の声に聞き覚えがあった。霞む視界が景色に慣れ始めた頃、女の方を向いた亮平は苦笑いを浮かべる。その女の正体は、亮平の母親だった人物。殺されたと聞かされていたというのにこうして亮平の目の前に立っていることを考えると、兄の言っていたことが正しかったのだと証明された

ab「…、クソ女」
　「あら、亮平君はそんなに口の悪い子だったかしら？」
ab「俺と兄さんを騙していたくせにｯ!!」

亮平は瞳をエメラルドグリーンカラーに染め、異能力(ギフト)を発動しようとする。しかしその瞬間、彼の身体に電流が走った。鋭い痛みだ

ab「ぃ"あッ"…っ、!?」
　「ごめなさいね、危ないから腕輪をさせてもらっているわ」
ab「っ、はぁーｯ…、はぁ、っ…」

痛みから涙が零れそうになる亮平であったが、その瞳は絶えず女を睨み付けている。女はそんな彼の様子に肩を竦めると、他の白衣の者達に指示を始めた。そして此処から亮平の地獄が始まる

▼▽▼

採血、身体能力測定、知能測定、異能力(ギフト)鑑定、死への耐久検査、怪我への耐久検査、怪我の治癒速度測定、耐性検査など…上げればキリがないほどの検査、もとい拷問が亮平を襲った

その検査の末に、亮平が【特殊異能力者(センチネル)】であることが判明。女を始めとする何人もの研究員たちが手を叩いて喜んだ。特に女は「兄(あの子)は出来損ないで死亡したけれど、この子は選ばれた子だったのね！」と反吐が出そうな笑みを浮かべ、猫撫で声で語っていたのだ。そんな彼らに亮平は復讐心と憎しみだけが募っていった

そんなある日、

　「亮平君、貴方の処遇が決まったわ」
ab「…なに、モルモットかなんか？」
　「いいえ、貴方は見目も麗しいでしょう？だからね、闇社会の人間の愛玩具(ペット)になってもらおうという話よ」
ab「っは、？」

女の言葉に亮平は耳を疑った