脚色 Ⅱ (ページ31)

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阿部はその瞳に輝きを灯していた
その訳は、目黒や宮舘が岩本らと交戦していた間まで遡る

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作間は、例の彼により阿部の精神状態に異常が生じていないかをチェックしに向かっていた
彼の部屋に入ろうと扉を開けた瞬間、凄まじい電磁波と共に椅子が吹き飛んで来たのである。作間はそれを驚きながら蠢く影より産み出した触手によって受け止める

sr「…ははっ、なに？思い出しちゃった系…？」
ab「、此処は何処だよ」
sr「あっれぇ、脚ないから発狂ぐらいすると思ったのに…流石は【精神干渉(メンタルブレイカー)】だ」
ab「…取り敢えず、君は敵？」
sr「脚砕いた相手に問い掛けること？」
ab「でも、君から敵意は感じない」

その言葉に作間は押し黙った。それを見据えた阿部はため息を吐いてもう一言告げる

ab「もし敵じゃないなら手を貸して」
sr「は、？」
ab「…せっかく敵の懐に居るんだから内部から情報を集める」
sr「、ははｯ…えっ？正気？」
ab「脚無いから正気じゃないかもね」

もしかして、と作間は内心ある仮説を立てたがそれを口にすることなく、「気が狂ってる人は嫌いじゃないから良いよ！」と笑顔で答えた。それを見た阿部が「お前、名前だけじゃなくてなんかノリもうちの佐久間に似てるね」と呆れ顔で呟くのだ

ab「不便だから…そうだな、車椅子欲しいかも」
sr「おっけぇ、瑞稀くんに…って今居ないんだった、橋本くんにお願いしとくよ」
ab「次から次へと情報出すなよ…えぇと、作間龍斗だっけ？」
sr「うん、そう」
ab「君はなんでこんなところに居るわけ？」

阿部の突然の質問に、作間の笑顔が固まった。何故、此処に居るのか？そんなのは決まっている

sr「俺の大切な人のため…その人の幸せのため」
ab「、宮舘と目黒も？」
sr「限りなくそうなんじゃない？でも二人とも騙されてるよ」
ab「はっ？」
sr「博士、管理長、先生…呼び方をたくさん持っていて、姿もたくさん持っているあの人に」
ab「…名前は？」
sr「言えない、言えば…ガリさんが殺されちゃう」

作間は一瞬、泣きそうな顔を浮かべてみせた。その顔を見た阿部派もうそれ以上踏み込むことが出来なくなる。しかし、収穫はあった。宮舘も目黒も何かしらを人質？にされていて、その為に此処に居るのだということ、そして騙されているということ

sr「…俺の言うこと信じるの？」
ab「…生憎、俺はサクマって名前の奴の事は信じるようにしてるの」
sr「馬鹿…？」
ab「精神壊してやろうか」