脚色 Ⅱ (ページ30)

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深澤達がそんなやり取りをしている間、研究施設へと戻された目黒は辺りに居る人間に怯え、畏怖していた

mm「ぁ、…ぁっ、」
　「ちょっと、髙地～？なんかこの子怯えてるけど？」
　「洗脳切れたんじゃない？」
mm「か、ぁさｯ…たすけ、っ…やだっ、いやだ…!!」

目黒はそう叫び、懇願しながら此処に居るはずもない母親を探し、涙を流す
それを見詰める二人は頭を掻きながら、この研究施設の責任者が現れることを待った
そして、その人物は白衣を靡かせながら現れる

　「あーぁ、これ洗脳解けちゃってるね？ごめんね、髙地くん京本くん」
kym「俺達は別に大丈夫です」
yg「じゃぁ、待ってる奴が居るんで」
　「うんうん、早く行ってあげなよ！じゃないとまた収容違反されちゃうからさ」

そう言いながら、白衣の男…先生は手払いをする。それを見た二人は表情を歪めながらその部屋を後にした

mm「っぁ、あぁ、!!来るなｯ、来るんじゃねぇ!!お前のせいで母さんはッ、ラウールは、みんなはッ!!」
　「うるさいなぁ、君は下から二番目だったくせに、本当に物覚えがいいんだね」

その言葉と共に、彼は持っていた写真を目黒の頭上からバラバラとぶちまける。床に落ちてゆくそれらを見た目黒は、写真の内容に目を見開き、嗚咽を漏らした

mm「っぉえｯ、げほｯ、ぅ"」
　「ははっ、きったないなぁ…、でもよく撮れてるでしょう？何回も君の死に様は撮ったからね」
mm「ぁｯ、ぁ…ち、違う、違う違う違うｯｯ!!!!」
　「…、だめだなぁ、これ…ねぇ！もうやっていいよ！」

そう声を掛けると、廊下から能面を着けたあの青年、作間が姿を現す

sr「人遣い荒いですよねぇ、本当に」
　「人じゃないくせに、あと宜しく」
sr「仰せのままに、管理長」

彼はそう作間に指示を出すと、その場から踵を返してゆく。その後ろ姿が完全に見えなくなり、気配も消えた瞬間、作間は能面を外し、目黒を見遣った

sr「可哀想にね、本当」
mm「ｯ、ｯｯ…」
sr「洗脳が解ける度に君はその間の記憶を忘れて、その上、今までの事を思い出しちゃうんだから」
mm「っ、ぁ…」
sr「だからせめて、夢の中ぐらいでは幸せに暮らしなよ」

作間がそう言い、目黒と目を合わせれば、目黒は糸が切れたように床に倒れ込んだ
写真を回収し、目黒をベッドに寝かせて廊下に出る

　「へぇ、俺の時もこうしてたんだ？」
sr「、居たの」

作間は驚き、その人物に目を向ける。車椅子に座り、白い病院服に身を包む青年

sr「阿部くん」