脚色 Ⅱ (ページ19)

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佐久間達と別れて、渡辺は岩本の部屋へと向かった。障子からは灯篭の灯が薄っすらと漏れている
ゆっくりとした動作で渡辺が障子をスライドさせると、布団に眠るラウールと、その傍らで本を読んでいる岩本の姿があった

nb「、照」
iw「翔太か…どうした？」

どうやら、岩本の部屋にまで川島の三味線の音は響かなかったらしい。岩本は帰ってきた報告にでも来たのだろうかと思い本に栞を挟んで閉じる
一連の動作を見た渡辺は、ラウールを起こさないようにと小さな声で遭ったことを話し始める

▼▽▼

iw「…んなことがあったのかよ」
nb「あぁ、どう思う？」
iw「どう、って」

渡辺から聞いた話に出てきた川島という青年、岩本は彼を信用するか否か判断し兼ねていた。ただでさえ色々なことが起こっていてやることは沢山あるというのに、どうしてこうも問題ばかり起こるのだろうか？

ただ、信憑性がないとは言い切れないのだ。理由は一つ、何も自らを語らない深澤について触れているからである。岩本は向井のことや宮舘、目黒について考えていたと同時に、深澤についても注意深く考え、観察していた

iw「…ふっかはどういう反応してた？」
nb「誤魔化してたけど、動揺してた」
iw「、そうか」

もう少し、深澤が此方に手の内を明かしてくれればいいのだが…、岩本はそう願いながら今後のことをまとめていく

iw「近いうちに向こうが仕掛けてくるなら好都合、無闇矢鱈に探さずに済むからな」
nb「それは俺も思った」
iw「その交戦で宮舘を仲間にする、そして阿部の居場所を掴む」

岩本の言葉に渡辺は頷き、「じゃぁ、ふっかが風呂から上がるから戻るわ」と口にして岩本の部屋を後にする
そろそろ寝るか、と岩本も灯を消して床に就いた

▼▽▼

暗い、暗い闇の中に自身が立っているのが分かる。その先には淡い光が存在していた。引き寄せられるかの如く、俺はその光に向かってゆく

　「あぁ、もうおそいよ。母さん、■来たよーっ」
　「ちょっと！■■、■■のこといじめないでよ」
　「いじめてねぇし！■■が■■のめし取ろうとするからっ！」
　「おれはもういいから…」
　「母ちゃん！早く早くっ」
　「ちょ、みんな母さんが困ってまうやろ!?」
　「ままぁ、さきにいかないでぇっ…」

見知らぬ子供たちに手を引かれて席に着いた。そして、

　「もぉ、■？今日は随分と遅かったね」

子供に母と呼ばれるその人は苦笑いを浮かべている

iw「あぁ…ごめん、＿＿」