脚色 Ⅱ (ページ12)

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mc「まぁ、取り敢えずはみんなでご飯食べませんか？」

道枝がそう提案すると、その場に居た全員が机に置いてある道枝が作った親子丼を見詰める

ほかほかとしたご飯に、とろりと蕩ける卵、それに絡んだ肉厚なささ身…、全員が唾を飲み込むのが分かる。どこからどう見ても美味しそうだった

sk「さ、冷めちゃうと勿体ないしね！」
nb「そ、そうだな」
iw「ほら、ラウールもふっかも座りな」

岩本はそう言うと、自分たち側に二人が来るよう促すが、すぐさま向井が深澤の手を引いて自分の隣の席に座らせる
それを見たラウールは目を見開いて、向井をすぐに睨み付けた。しかし、向井はそんなラウールを見ずに、

kj「みっちーの漬物も美味しいんですよ～、ほらっ、ふっかさん！」
fk「分かった分かった、！」
mc「むぅ…、じゃぁ、俺は康二くんの隣にしーよおっ」
kj「拗ねてるん？みっちー」
mc「いいえ～っ」

まるで三人だけの世界だ。これが口調で分かる関西方面のノリというものだろうか。渡辺はそう思いながら、席に着いて、箸を持ち手を合わせる

nb「…いただきます」
sk「ちょっ、佐久間さんも食べる！」
iw「はぁ…、ラウール、おいで」
ru「ぅ"～～ｯ、！」

ラウールは何とも言えない表情で唸っていたが、岩本に言われて仕方なく席に着いた。そして全員がもぐもぐと漬物やみそ汁、親子丼を口にし始める

fk「ぁっふぃ…!!」
kj「ほら、ふっかさんお茶」
nb「うわっ!?うまっ…」
sk「よかったでちゅね～、翔太くん」
nb「凍らせるぞ、お前」

和気藹々としている雰囲気の中、ラウールだけは黙々と岩本の隣で親子丼をスプーンで一生懸命食べ進めている。悲しそうな彼の表情に、岩本は居た堪れなくなってしまう

ru(なんでｯ、!!ふっかさんは僕のなのに!!)
　「ごちそうさまでし、たっ!!」
iw「ラウ、」
ru「ぼく、ねますっ、!!ぱぱっ、！」
iw「…俺ら先に戻るわ」

二人はそう言うと瞬間移動(テレポート)をしてその場から消えてしまう
空気を察した渡辺も黙々と食事し始めた

fk「…らぅ、」
kj「ふっかさ」

だが、口を挟まずにいられなかった佐久間は、

sk「なんで向井はラウールからふっかを奪おうとしてんの？」

みそ汁を啜りながら抑揚のない声で問い掛けてしまう
それを聞いた向井は一度きょとんとしてから、その問い掛けに答えた

kj「…なんも知らずに、ふっかさんの愛情を受理しとるのが気に入らんからやで」

そう言うと向井は、黙って残っていた親子丼を咀嚼していく