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吸血 75 ページ32

隼side

あの時、俺はまだ力の回復のために眠っていました。あんな強大な術を使ってしまったせいで、力は0に等しい。

だが、聞こえてしまった。

『先生ッ 助けて下さい!!』

神獣は神の代わりに願いを叶えるきっかけや、叶えるための運を持っていく。仕事の1つだ。それと、どれだけ思いが強いのかを視る。叶えたい願いが強ければ強いほど、その人を取り巻く現実が脳裏に浮かぶ仕組みだ。

助けてと叫んだのは、天鬼涼。そして見えた現実はルイが人狼にやられそうなところ。回復していなかったとしても、どんなに傷だらけでも助けに行くのは当たり前だ。

階段を登りながら黒虎化していき二階にあがった瞬間人狼に飛びかかる。木造だろうがコンクリートだろうが叩きつけられれば痛い。そのうえ黒虎である姿の体重をかけられたらとんでもないだろう。

人狼が回復する前に、俺は立ててあった“最終手段”の作戦を言う。

それは俺の血を吸うこと。別に酒呑童子でも良かったのですが、伝えてないし そもそも嫌がるでしょうからね。

人間の血より体力やその他の力が増すのは当然だ。例え満月でも覚醒と同等の力が出せるはず。もちろん、ルイが俺の血をギリギリまで飲み干せばの話だが。

全てはAを守るため。

ル「分かった」

そう言ったルイは俺の腕を引っ張り口許に近づける。何だか見ていられない。目を逸らして見ないようにしている分敏感になったせいで、吐息を肌で感じる。

牙が皮膚を裂く痛み。でもそのあとにくる、痛みを凌駕するほどの、
__________吸血される快楽。

隼「ッは………ぁ……ぅ………」

分からない。吸血されることが、何故こんなに気持ちいいのか。脳が快楽で可笑しくなりそうだ。

駄目だ。我慢しろ。声も、倒れるのも。貧血程度で吸血を止められないように。もっと吸わなければ、本気を出しても人狼に勝てない。

ル「大丈夫か?」

隼「平気ですよこのくらい。早くして下さい。人狼が回復してしまうでしょう」

ポーカーフェイスは得意だ。おかげでルイは吸血を再開する。

隼「ぁ、あ…………くっ…………」

もう少し、もう少しだけ。

ついに立てられなくなった俺はルイに寄りかかるようにして座り込む。

隼「すみません」

ル「いや。ありがとな」

そう言ったルイの瞳は、吸い込まれそうなほど透明な紅だ。

ル「もう、大丈夫だ」

俺を横抱きして壁に下ろした。俺は動けない。酒呑童子も戻ってしまった。

隼「任せましたよ」

笑ったルイを最後に、俺はまた意識を手放した。

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設定タグ:埋夜冬 , オリジナル , 吸血鬼   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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まどか - りょーかい、待ってるね!! (2018年8月27日 16時) (レス) id: 130990d81a (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - まどかさん» ありがとー!それじゃ戦いを終わらせられるよう、頑張りまっす! (2018年8月26日 10時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
まどか - うんうん、凄い!!私も早速投票させてもらったよ(^^♪ (2018年8月26日 1時) (レス) id: 130990d81a (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - まどかさん» アンケート作ってみた!どうかな?上手くできてるといいけど………。 (2018年8月25日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
まどか - オッケー、待ってるっ!! (2018年8月24日 21時) (レス) id: 130990d81a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2018年5月26日 0時

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