Feelings ２ (ページ37)

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なんとか家族を説得して迎えたお見合い当日

どことなく浮かない顔をする３人には気づかないふりをして、目の前の男性に向かって笑いかけた

「初めまして、神山智洋です」

「は、初めまして。中間Aです」

お見合い相手の神山さんは、家族も含めて予想よりも遥かに優しい人だった

「写真で見るよりもお綺麗ですね」

「そ！そんなことないですよ…」

目を細めてニコリと笑う姿は猫のようで、可愛らしい

お父さん達も神山さんの礼儀正しさに圧倒されている

「…」

この人とだったら、幸せになれるんだろうか？

「まさかAさんの方から了承を頂けるなんて、嬉しい限りです」

「いえいえ、こちらこそ！」

「たくさん食べて下さいね」

神山さんのお父さんに促されてテーブルの上を見れば豪華な料理

その中でも最初に視界に入ったのは、綺麗な赤色のまぐろだった

ぱくりと口に入れてから蘇るのは数か月前の記憶

『…んま！A、まぐろ上手い！』

『ん…！ほんとだ、美味しい』

なんでだろう

この高いまぐろよりも、流星と一緒に食べた安いチェーン店のまぐろの方が美味しく感じるのは、なんでなんだろう

リスのように頬を膨らませる流星を思い出してしまい、脳内から振り払う

駄目だよ。…忘れるって決めたでしょ？

「Aさん、趣味とかあるんですか？」

「あっ…！私は」

お茶を流し込んでから神山さんの質問に答えようとした瞬間

「ちょっと待ってください！」

聞き覚えのある声と共に、勢いよく締め切っていたドアが開かれた

「え…」

「ちょっと…まってください……」

「………なんで」

グラスを持ったまま固まってしまう

だって私たちの前に現れたのは、ここにいるはずのない流星だったから

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