Feelings ２ (ページ34)

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ブルーな気持ちのまま自宅に着き、雑に靴を脱いでリビングの扉を開けようとすると

「…嘘やろ？会社が潰れる？」

「！」

ただ事ではない会話が聞こえ、慌ててさっきのように扉の外から耳を澄ませた

「経営危機なんや」

「…」

「ほんで…たまに合同でプロジェクト組んでる会社の社長さんが

うちの息子と結婚してくれたら潰れないようにサポートするって言ってきたんよ」

「なんやそれ、冗談やろ？」

「本間や。息子さんがAに一目惚れしたみたいでなあ」

「けどAには…」

「ああ、流星くんがおる。だから話は断った。Aを巻き込むわけにはいかんし」

「他に、方法はないんやろか」

「………どういうこと？」

思わず声に出さずにはいられなかった

私の声に振り返った３人はみるみる血の気が引いていく

「A！まさか、聞いてたん？」

「聞いてた。会社が潰れるって本当なの？」

「…」

「ちゃんと答えて」

しばらくの沈黙の末、小さく頷いたお父さんにはいつものような覇気が感じられない

どんよりとする暗い雰囲気を悟り、これは嘘なんかではないことはすぐに理解した

「けど、Aはなんも心配せんでええねん

仕事のことだって、流星くんのことだってあるやろ？」

「そんなん…！」

「ええから。Aは首突っ込むな」

突き刺さるお兄ちゃんの冷たい言葉

だけど、わかってんねん
それがお兄ちゃんなりの不器用な優しさだって……

「…A」

心配そうに私を見つめるお母さんから目を逸らし、リビングを飛び出して階段を駆け上がった

自分の部屋に入り、ベッドに身を投げて仰向けになる

頭痛が酷い

めまぐるしい出来事ばかりで頭がおかしくなりそうだ

「会社が、つぶれる……」

若い頃、お父さんが独立して死に物狂いで成長させた大切な会社

どれだけ愛着を持ってるかなんてずっと近くで見てきたから知ってる

そんな会社が潰れるなんて考えたくもない

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