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「Aやないとあかんの」
「…」
震える望の声
初めて聞く彼の気持ちに、またしても涙がぽろりと落ちていく
「…よかったやん、A」
「…」
「しっかり想われてるで？」
目を細めて微笑む流星は、無理して笑ってるようだ
「俺が入る隙もないくらいラブラブでおってや」
「…当たり前」
望の肩を軽く叩いたあとに、座り込む私の元にしゃがんで乱暴に頭を撫でる
「もー泣くなや？」
「……うん。ありがと」
優しく笑う流星の瞳から想いが垣間見えて、胸が苦しくなった
「…」
「ほら」
立ち去る流星を眺めていれば、振り返った望が手を差し出す
近くで笑う顔を見るなんてひさしぶりや……
「ん」
「…ごめんな、A」
手を繋いで歩き出す
隣の望を見上げれば、まん丸い目を真っ赤にしていてぎょっとした
えええ…泣いとる
「どうしたん…」
「やって……やって、おれ、ずっとイライラしてて…」
「うん」
「Aのこと……たくさん傷つけた………」
終いには声を出して泣き出すから、私が宥めるというカオスな状態に
「ええよ、わたしもムキになって怒ってもうたし…」
「うっ……うっ…」
「ほんまに…私で、ええの？」
ぽつりと小さな声で呟けば、それを聞き取った望がはあ？と大きい声を上げる
「さ…さっき言ってたやん。私のこと、素直じゃないしうるさいしアホって…」
うわ。自分で言って悲しくなってきた…
「あほ」
「ほら、またアホって……むむ」
むぎゅっと鼻をつままれる
「けど、そんなAもひっくるめて大好きやねん……って言おうと思ってたんやけど
その前に、Aが入ってきてもうたわ」
「……へ」
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作者名：tomo | 作成日時：2018年7月19日 0時
