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ぼやける視界。溢れる涙
「うっ…う…」
前も見ないで下駄箱の角を曲がれば、勢いよく誰かに衝突した
「いっ……た…って、A？」
「……りゅ、せ」
ぶつかったのは、流星だった
ヤバイ……なんでこんな時に限って
「ごめん」
「…ちょっと」
バレないように下を向いたのに
それに気づいたのか、無理やり顔を上げさせられて綺麗な瞳と目が合う
最悪や…こんなぶっさいくな泣き顔見られるなんて
「……泣いとる」
「あ…別に、大したことじゃないねん！だから、気にせんと……っ！」
言い切ることができなかったのは
ぎゅっ……と
痛いくらいに、抱きしめられたから
「……あかんわ、もう」
何が起きているのかよくわからない
……どうして、流星に包まれてるんやろか
「ちょ……流星？はなして、ここ学校」
「いやや」
もがいてみるけど、更に強く抱きしめられるだけ
「見守ろうって決めてたんに」
「へ…？」
「なんで幸せそうじゃないん？」
戸惑いを隠せなくて黙り込んだまま
どういうこと……
「なあ、ええ？」
「…」
「Aのこと、奪ってもええ？」
「あかん」
「っ！」
後ろから響いた声に、血の気が引いていった
途端、私たちの間にでかい体が入り込んで引き離される
「……望」
目の前に立つのは
間違いなく、さっき別れを告げた人
「ごめん……いくら流星でもAのことは渡せん」
「やったら泣かせんといてや」
「…」
「A、最近元気ない。全部お前のせいや」
いつもは仲良しなのに、望を見る目は笑っていなくて怖い
なんで……
なんで、私のためにそこまで怒ってくれるん？
奪ってもええ？って
……ほんまなの？
「それは、俺が悪かった。けど……
Aおらんとだめやねん」
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作者名：tomo | 作成日時：2018年7月19日 0時
