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最後の遊びは缶蹴りだった。ちなみにその場に現れたのはマトリョーシカ。遊びに出てくるモノ達がしりとりになっているという予想は当たっていた。
当たりの鬼役を引いたのは武。赤い棒は一本しか無かったようだ。
私達は全部で六人。タイムリミットになった時点でそのうち三人が捕まっていれば鬼の勝ち。その逆が私達の勝ち。
捕まっていない人が缶を蹴れば捕まった人を解放出来るが、缶は蹴られたら爆発する仕組みらしい。
タイムリミットは夕陽が沈むまで。
どうすればいいのだろう。この場に残るべきか、逃げるべきか。
この短時間の間に選択するべきことが多すぎて、そろそろ頭がパンクしそうだ。
「A、行かないのか？」
遊びが始まっても行動を起こさない私を見て、武が柔らかい声で言った。
「…行ってほしいの？」
こんな質問、武に嫌われるだけなのに、わざわざ自分から嫌われるような発言ばかりする。
武の顔を見れないなんて、初めてだった。
「…止めもしないし、その逆もしない」
「そう」
意味なんてわからない。武がどちらを望んでいるのかなんてわかるはずもない。
自分で選ぶしかないのだろうか。
武に選んで欲しかった。武の望む女になりたかった。ずっと、武を優先させていた。
わがままを言っているように見せながら、ずっと武の事を考えていた。私の世界は武が中心だった。
「武は、私のこと好き？」
できるだけ明るく、軽く言った。武の顔は未だに見ることができない。
武のジャケットの袖を少しだけ掴んだ。
武はなにも言わない。私もなにも言えない。静かで、緊張した空気が流れる。夕日が少しずつ沈んでいく。
ふわりと、頭の上に暖かい大きな手が乗った。
反射的に武の顔を見る。
私の混乱した瞳に映ったのは、優しく微笑んだ綺麗な武の顔。
髪型を崩すように、けれども丁寧に私の頭を撫でる武。
心配するな。と言われているようで、今まで馬鹿みたいに考えていた汚い感情もいつの間にか消えていた。我ながら単純だと思うが、そのくらい武の存在は私にとって大きなものだった。
どちらともなく目を閉じて顔を寄せる。
夕日によって作り出された黒いシルエットが、ゆっくりと重なった。
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鼎(プロフ) - runarunaさん» いつもありがとうございます。管理人の鼎です！ご指摘ありがとうございます！修正させていただきました！返信が遅くなってしまい申し訳ありません…！また何かお気付きの点があればご指摘願います。これからもこの作品をよろしくお願いします！ (2016年9月27日 18時) (
レス) id: 50123c4a48 (このIDを非表示/違反報告)
runaruna(プロフ) - 『瞬』ではないでしょうか？間違っていたらすみません！ (2016年9月24日 15時) (レス) id: 7c74cf0c5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼎 | 作成日時：2016年8月16日 0時
