臨【爆豪勝己】 (ページ1)

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EP１ページ1

私は警察だ。

ヒーローという職業を影ながら手伝い、ヒーローが捕まえた敵を持って帰って牢屋にぶち込む。
ただそれだけ。
市民を守ったりするのはヒーローだけじゃ足りないから警察がでる。
ただそれだけ。

でもただそれだけの事がどんなに大切かっていうのを私は知っている。

命を守ることがどれだけ大切なのか、命とは儚いモノなのだ、と。

「死ねよ！」

ガシャァン‼‼

バケツの水がバケツごと私に降り注いだ。

「きっも～」

私のノートはボロボロで、マジックで描かれた感情と暴言で埋め尽くされていた。

机も、イスも、私の所持品も_______ボロボロだった。

殴られ蹴られ暴言を吐かれ、体が限界に近づいた時にいつもくるのは君だった。

「てめぇらぶっ殺す‼‼‼」

ずっと一緒にいる幼馴染……爆豪勝己である。
通称勝己は俗に言う天才で、なんでも出来た。
勉強、スポーツ、料理、その他諸々なんだって勝己はできる。

そんな勝己は、「少しでも内申に足されるのなら」という理由で私をイジメから救いだしていた。
足されるのか内申。
それでいいのか高校。

勝己が本当にそんな理由で私を助けているのかは知らないけど、確かに私は勝己から助けられていた。

しかし私はイジメられる事を進んで望んだ。
高校生や中学生という、いわゆる思春期には様々なストレスがのしかかる。
それは友達関係であったり、親へのイラつき、先輩や後輩が気に入らないなど、客観視してみれば些細な事でも、抱えている本人にとっては大きなものである。

そのようなストレスが、犯罪などの方に走らないようにするために私はストレス発散の道具である事を望んだ。
決して嬉しい事ではないのだけれど、犯罪によって誰かが悲しむ事を防ぐためにしているのだった。

パタパタと廊下をいじめっ子が走って行ったところで勝己は私の方に振り向いた。
その眼は鋭い。

「チッ……馬鹿かお前は！
見ててイライラすんだよ！！！黙って水かけられて殴られて蹴られて……あぁイライラする！！！
なんでやりかえさねーんだよクソナードが！！！！！」

「………なんでさ、勝己はそんなに優しいの？」

「は？」

「だってさ、内申のため～とかなんとか言ってるけど人を助けてるんだよ？
しかもこんな私を。」

勝己の眉がピクッと動く。

「……そういうとこが気にいらねぇんだよ！」

そう言って勝己は舌打ちをし、立ち去った。