同じ世界 ２【神木隆之介】

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夢の中にいるんだな、と、すぐにわかった。

何もない、真っ白な空間。

振り返って見れば、後ろは真っ黒に染まっていた。

一歩足を踏み出せばその場所から黒く染まっていく。

一歩。また一歩。黒く黒く染まっていく。

少しずつ速くなる歩調。

黒が追いかけてくる。

いつのまにか走っていた。息が切れる。

「嫌だ…怖い…」

小さく呟けば、さらに黒は強くなる。

私はもう手遅れなのかな。

もう二度と、白くはなれない。

ずっと向こうに、誰かがいる。

見なくてもわかる。あれは、あの見慣れたシルエットは。

「…っ」

声に出そうとしても、出てこない。

その言葉だけ忘れてしまったように、声にならない。

走っても走っても、彼はどんどん遠くなるだけ。

ああ、追いつけない。

気付いた瞬間、立ち止まる。

黒も止まる。

「っああああああ！！！」

死ぬほど叫んだ。

声が枯れるほど叫んだ。

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"！！！」

汚い二重音声。喉が渇いて張り付く。気持ち悪い。

でも、壊れても構わない。

いっそ声なんて出なくなってしまえばいい。

「大ッ嫌い！！！死んじゃえ！！！クズのくせに！！！」

二度と目覚めないくらい、深く深く眠ってしまえばいい。

お前なんかいらない。

神木さんを好きな私なんて、いらない。

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