同じ世界 ２【神木隆之介】

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「なんでそう思ったんですか？」
「見てたらわかるよ」

お互い、相手の顔は見ない。

「Aちゃんのマリ。あれ、演技じゃ出来ない。演技しようなんて気持ちであの役は演じられない。実際に自分がその気持ちを理解しなきゃ、マリにはなれない」
「…さすがだなぁ、監督は」

そうですよ。私は神木さんを殺したい。

デザートを口に運びながら言う。

「突き放したのは私です。だから、今更友達みたいになんて出来ませんし、突き放してなくてももう無理なんです。神木さんに理解してもらえないのが死ぬほど辛いんです。神木さんは絶対に私の気持ちはわからない」

監督が笑う。
ほんと、マリとトウマそのまんま。

そう、トウマが神木さんだから、私はマリになることが出来るのだ。もしこれが他の人なら、マリにはなれなかった。

「Aちゃんが神木さんに望んでいるものは何なんだろうね」

私がずっと探していたもの。

私は神木さんにどうして欲しかったのか。どうあって欲しかったのか。なにが原因で突き放したのか。
その答えは、この作品の中にある。
実際、半分見つけた。さっき自分で自分口に出した。
そう、私は、神木には決して理解出来ない私の気持ちを、神木さんに理解してほしい。無理な願いだ。
半分と言わず、これが全部なのかもしれない。
けど、これは実現しない願い。実現しない夢は追いたくない。だって見っともない。叶わない夢を追い続けられるほど強くない。
だから、心の奥底ではそれを望んでいるのだろうけれど、今ほしいのはそれじゃない。
その答えが残りの半分だ。

早く見つけたいけど、見つからなくていいと思う自分もいる。

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