同じ世界 ２【神木隆之介】

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「あぁ、素敵。理想ぴったり。ねぇこれからどう？おネェさんとあそぼ？」
「あはは、私そっちの気ないですって」

撮影が始まって1週間。私と監督は異常なほど仲良くなっていた。
お互いの気持ちを理解している。私たちは同じ人種なのだ。同じ人種同士はそれがわかる、こともある。

「そのままのAちゃんが素敵。あなたを選んで良かった。私の勘は当たってた。ねぇやっぱこの後どう？おネェさんとあそぼ？」
「今日はダメです」

暇な日教えてね。と告げ、怪しげな笑みを小さく浮かべ、どこかへ行く。

「凄いね、尊敬する」
「悪い人じゃないですよ」

スタッフの方と話しながら残りの休憩時間を過ごし、再び撮影が始まる。

相変わらず、NGがかからない。セリフも間違えない。マリの言葉は私の言葉だ。私の心情そのもの。変わらない。だから間違う意味がまずない。

『いいんだよ。わがまま言っても』

優しく微笑むトウマ。そんなこと言われても、わたしの本性みたら逃げ出すでしょ？めんどくさいって突き放すでしょ？

『うん、ありがとう』

綺麗な笑顔を作って、表面だけの礼を言う。我儘？言うわけないじゃん。だってあなたが好きだから。嫌われたくないから。

『付き合おう』

そう言われたとき、嬉しかった。嬉しかったけど、苦しかった。あのときの気持ち。
その気持ちを理解出来るのは私だけ。

『嬉しいけど、ごめん。好きな人いるの』

嘘はついてない。

『そっか…ごめん』

いいの。わたしこそごめんね。
小さく、無理やり笑顔を作る。

振ったのに、気付けば彼を目で追っている。

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